50代早期退職のメリット:早いセカンドキャリアのスタートが年収ダウン克服への早道
2022.10.14定年まで勤めあげると思っていた会社を、実は定年前に去る人が増加しています。早期退職と言うと役職定年の末の出向やリストラなどネガティブなイメージもありましたが、現在は自ら進んで早期退職を選ぶ人も多いです。一体どんな人なのか?本記事では早期退職の概要からメリット・デメリット、早期退職が活かせる人の特徴を解説します。

大手企業における早期退職募集のニュースを見ました。自分の会社でも将来起こり得ると考えていますが、早期退職にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
早期退職は新しいキャリアにチャレンジするきっかけであり、定年後まで踏まえて考えると早めに動き出せる好機とも言えます。メリット・デメリットがあり、メリットを最大限享受できるタイプの人が向いています。

目次
早期退職とは?どんなケースが早期退職になる?
コロナ以降の経済情勢の変化の中で早期退職が増加しています。東京商工リサーチのデータを参照すると、リーマンショックの前後、2009年頃に比べると同水準以下ではありますが、2010年代は低く安定していた早期退職実施企業社数と総募集人数が急激に増加しています。マスメディアによってコロナ禍の大リストラと呼ばれることもありますが、働き方の変化や価値観の変化もあり、必ずしもネガティブな早期退職ばかりではありません。
早期退職とは
早期退職とは何でしょうか。似ている言葉に定年退職と希望退職があります。定年退職は企業等で定められた年齢に達した場合に一律退職とすること、希望退職は就業者が自分の意志で退職をすることです。一方、早期退職とは、定年に達しない年齢であるものの、企業が募集などを通して退職者を募り、応募した社員等を会社都合の形式で退職させることです。企業等が早期退職をさせる場面としては、業績の悪化にともなう経営改善のため、人員や事業を見直す場合が多いです。ただし、一定の年齢や勤続年数を満たす社員に対しあらかじめ制度として早期退職を用意しておくケースもあります。
民間における早期退職
業績悪化などに伴い早期退職を募集することがあります。富士通が2,850人の大規模な募集をしたり、オンワードホールディングスや小田急電鉄の百貨店部門などコロナ後の生活の変化で売り上げが減少した業界なども目立ちます。早期退職の場合、退職金が上乗せされるることが一般的です。そのため、企業の会計としては大きな特別損失が計上されますが、それでも将来の経営体制を考慮し、人員削減に動かざるを得ない事情も垣間見えます。
公務員における早期退職
公務員にも早期退職制度があり、国家公務員の場合は応募認定退職という制度があります。これは平成25年11月1日から導入されたもので、内閣人事局の記載によれば、「職員の年齢別構成の適正化を通じた組織活力の維持等を目的として、定年前15年以内で勤続期間20年以上の職員(定年前6月以内の者を除く。)を対象に、透明性の確保された早期退職募集制度を創設」したとされています。
早期退職のメリットについて
早期退職にはいくつかのメリットがあります。ここでは3つのメリットをご紹介します。
退職金が上乗せされる
2018年に厚生労働省が行った「就労条件総合調査」を見ると、早期退職の場合、退職金の平均額は、2,326万円(45歳以上かつ勤続20年以上)となっています。定年よりも10〜15年早く、同等以上の退職金が受け取れる計算となります。上乗せされる大きさによって早期退職の応募者も増える傾向がありますので、企業側が積極的に早期退職を実施したい場合ほど上乗せ額が大きくなります。
新しい仕事や起業へのチャンスとなる
早期退職に応募する場合、その後の人生をどう生きていくかしっかりと考えて応募することとなります。また、企業側もキャリア形成の支援をセットで早期退職の募集を行うこともあります。定年までその会社で勤め上げようと考えていると、人はなかなか定年後のキャリアについて考えるのを先送りにしてしまいがちです。40代〜50代で将来について考え、上乗せされた退職金という軍資金がある状態は新しいチャレンジをするのに良い機会となります。
生活を見直し、家族や趣味に使う時間を増やすことも
これまで企業人として一生懸命頑張っていた人でも、早期退職はそれまでの生活を見直す良い機会となります。多少年収は下がってもゆとりのある仕事を選び、家族と過ごす時間や趣味の時間を増やすことも可能です。東京を離れ、地方で再出発するケースもあるでしょう。
早期退職のデメリットについて
早期退職には上記のようなメリットもありますが、もちろんデメリットもあります。デメリットを2つご紹介します。
50代の転職は想像以上に時間がかかる
早期退職に応じるのは50代の方が多いです。今でのは中高年・ミドルの転職も多く見られるようになってきましたが、まだまだこれから伸びていく段階です。そのため、新しい仕事を探そうと思った時に、そもそも求人が少なかったり、自分に合った求人がなかなか見つからないということがあります。早期退職を募集する企業側が新しい職場の斡旋を行う場合もありますが、必ずしも自分の経験やスキルに合った企業ばかりではなく、なかなか決まらないということもあります。 50代の転職には6ヶ月から1年くらい見ておくべきだというコンサルタントの方もいらっしゃるほどです。
50代の転職は年収ダウンのケースが多い
前述のように50代の転職が想像以上に厳しいという現実があり、結果として年収がダウンするケースのほうが多いと言われています。早期退職により退職金は大幅に割増しされますが、トータルでは今の会社にとどまったほうが総収入が多くなるケースも十分ありえますので、転職できるまでの時間と年収の予測をしっかりと検討することをおすすめいたします。
新しい環境に馴染むのに時間がかかる人も
早期退職のメリットで記載した新しいチャレンジや地方への移住など、変化を楽しめる人にとってはポジティブに作用しますが、そうでない人にとってはストレスになるかもしれません。働く環境も大手企業から中小企業に移ったり、ご自身で起業した場合は勝手が違うことが多くあり、慣れるまでは戸惑いもみられるでしょう。
近年増えているのは積極的早期退職。いったいどんな人が早期退職に向いている?
ここまでお読みいただいて、早期退職についてどのように感じられているでしょうか。人によってはやはりまだネガティブな印象があるかもしれません。しかし、最近では積極的に早期退職を選んでいる人もいます。
積極的早期退職とは
積極的早期退職とは、自身で望んで早期退職に応募する人や、早期退職の募集がでたり要件を満たすのを待っている人のことです。仕事をしている中で、現在の職場では実現できないビジネスに関心を持ったり、生活環境や生き方を考え、現在勤めている企業から離れたいという人です。
早期退職のメリットを最大限生かせる人
積極的早期退職が向いているのは先に挙げた早期退職のメリットを最大限活かせる人です。早期退職後のプランがしっかりとあり、上乗せされた退職金の有効な使い方を考えら得ていればベストです。そのためには、やはり事前にライフプランやマネープラン、キャリアプランをしっかりと検討しておくことが不可欠です。
まとめ
早期退職にはいくつかのパターンがありますが、早期退職を人生の良いチャンスと捉えることもできます。積極的に早期退職を活用し、キャリアアップや望んだ生き方に繋げていけるように、日頃から将来のキャリアやライフプラン、マネープランについて考えておくことが大切です。
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1967年生まれ。慶應義塾大学理工学部大学院修士課程卒。英国国立レスター大学MBA取得。2011年「起業家のためのプログラミング教室」Club86 Startup School(現TechGardenSchool)設立 2017年「中高年のためのプログラミング教室」開始 著書「図解 50代からのプログラミング –未開の能力を発掘♪」「教えて♪ プログラミング」など