「ITと開発の全体像」
更新日:2021.07.03
10/20の基礎講義では、新規事業開発に携わっている新入生のリクエストもあり、中田先生に「ITと開発の全体像」についてディスカッション形式で講義を行なっていただきました。 IT業界の職種「プログラマー」と「ディレクター」にとってとても大事なお話でしたので、概要をブログにアップしたいと思います。
① 「書けないディレクター」危うし!
IT業界の職種の構造についての話から。 こんな職種構造になっているらしいです。
「営業」 :外部から仕事を取ってくる人
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「PM プロジェクトマネージャー」 : サービスとシステムの全体設計をして、プロジェクトの工程と日程を管理する人。クライアントの要望を聞きながら折衝していく中心人物のため、多くの経験が必要とされ、システムの詳細にも精通している必要がある。そのため「プログラマー」から叩き上げる人が多い。 システム分野の部長さん。
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「SE」:主にサーバーなどのインフラやサービス全体の設計をする人 (UI/UXデザイナーはこのレイヤーに位置する)
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「デザイナー」 : 見た目のデザインをする人(ビジュアルデザイナー)と UI/UXのデザインをする人(UI/UXデザイナー)にわかれる
「プログラマー」: システムをプログラムとして構築する人
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「QA/テスター」: できた製品の品質チェックをする人。
なるほど。 ん? 「中田先生、ディレクターはどこに位置するんですか?」 と聞いてみました。
中田先生によると 「営業」と「PM」の間の位置か、「営業」の上位にいる事が多いそうです。 お仕事としては、ビジネスとしてのサービス全体を考え指揮することだそうで、主にアイデアだけを出す「企画屋」と「ディレクター」も別物とのこと。もちろん「ディレクター」は企画もやりますが。
ここで生徒から質問がでました 「PMがいればディレクターは要らないんじゃないですか?」 鋭い。そう。PMはプログラミングやシステムがわかるわけで、サービスやビジネスの企画も身につけちゃえばディレクターも兼ねられます。 外部との折衝能力もあるしね。
また、将来オフショアの安い労働力に取って代わられることが自明の国内「プログラマー」が付加価値をつけて生き残るためには2つの道しかないです。
一つは「英語のできるPM」になって、オフショアの人材を使いこなすこと。2つ目は「コードの書けるディレクター」を目指すことです。中田先生によるとこの「プログラマーからのディレクターへの流入」は既に始まっているそうです。
危うし、書けないディレクター!
結論 : 「書けないディレクター」は必要なくなっていく。
② 危うし! 「ビジネスのできないプログラマー」!
次に開発の全体像としてのサービスとシステムの違いについての説明がありました。
〜 サービスはビジネス全体の流れを指し、ウェブのシステムはその一部にすぎない
アマゾンのサービスで言うと、お客さんがウェブから注文して自宅に届くまでがサービス全体のフローで、IT以外の要素(倉庫、配送など)もいっぱい入っています。 アマゾンのウェブのシステムは「お客さんが商品を探して注文する」部分を担当しているに過ぎないわけです。
たしかに今「プログラマー」は引く手あまたの状態ですが、所詮ビジネス全体のごく一部を担っていることがお分かりでしょう。 この分野の人材が「国内」に「今」不足しているだけなのです。今後安いオフショア人材やフリーランス人材の活用が進めば、今の状況が早晩崩れるのは自明のことです。 「IT土方」という悪しき言葉が存在しますが、設計図にもとずいて家を立てる「大工さん」であることはあるい意味本当なのです。 また単純な作業の賃金はITであっても下がっていくのです。
③ 新規事業のフェーズによる違い
さて、今日のハイライト! 開発ではどのような点に気をつけるべきか、という生徒さんの問いに対しての先生のお話のまとめです。これはフェーズによって全く違うとのこと。 スタートアップであっても社内新規事業でも事情は全く同じようです。
1) 新規事業のスタートアップ期
これは仮説検証の段階なので、顧客がつくかどうかを確認することに重きをおけばよく、システムの完璧な構築やリスクについてはあまり考慮しなくて良いフェーズである。この段階では、ディレクターは「モノを作って」「売れるかどうか」に集中していれば良い。その意味でPMはまだ必要ない。
2) 新規事業の拡大期
新サービスに顧客がつく目処がたち、ビジネスとしての拡大を目指すフェーズになったらディレクターは頭を切り替えなければならない。以下のようなリスクを考慮してきちんとしたシステムを構築しないといけないからだ。 従って、経験豊富なPMやSEを加えたチームにする必要があり、彼らの考えにもとづいて「新たに」設計し直す覚悟が必要だ。
〜 スケールアップ時に気をつけるべきことの例
・ 規模の問題 :アクセス数、データ量
・ セキュリティ、安全性、メンテナンス性、バックアップの問題
・ データログのとり方、問い合わせ対応
・ UX/UIの見直しによる使いやすさ、教育コストの低減
結論 : 新規事業のスタートアップ時と拡大期でわけて扱わなければならない。 ディレクターの活躍場所は主にスタートアップ期にありそうだが、リソースも少ないのでここでも「書けるディレクター」のほうが圧倒的に有利。
〜 最後に
中田先生の以下の言葉が印象的でしたので、ご紹介します。
① スペシャリストよりも総合力を磨くことを勧める。〜 特定の技術・分野のスペシャリストの寿命は短い。
② 自力で仮説検証できる力をつけることが大切。 〜 そうしないと前に進めない。
③ 異業種分野の人との交流にITの思わぬビジネスチャンス有り。〜 ITで解決できることを知らないアナログな業界は意外に多い
まとめると、
ー プログラミング・デザイン・ビジネスを学びつづけることで自分を高めることが、自分の可能性を高めリスクを減らす。
ー 異業種との交流でビジネスチャンスを狙うのがオススメ!
です。とって勉強意欲をかきたてられる講義でした。中田先生ありがとうございました!
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