70歳定年時代を生き抜く② 死ぬまでの収入を確保する方法

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70歳定年時代を生き抜く② 死ぬまでの収入を確保する方法

70歳定年法 給料 年金 収入 業務委託契約 2021年4月に、70歳まで就業機会の確保が努力義務となる、改正高齢者雇用安定法、いわゆる「70歳定年法」が施行されました。 70歳まで会社にいれるのはありがたい、と思う方もいるでしょう。 しかし、実は70歳定年法が施行されたからといって、一律に「定年」自体が70歳に引き上げられるわけではなく、「就業機会の確保」が強制力のない「努力義務」として定められるだけですから、実態としてどうなるかを見定める必要があります。 本記事では、この法律によって70歳までの10年間の給料・収入がどう変わるか、70歳定年法がもたらす収入面への影響について考察します。 前:70歳定年時代を生き抜く① 70歳定年法の制度内容やメリット、デメリットは? 次:70歳定年時代を生き抜く③ 中高年・シニアの仕事の探し方(在宅勤務、地方案件有)

1. 現在の状況

まず、70歳定年法が施行される前の定年前後の人の金銭事情を紹介しましょう。 2019年に株式会社エアトリが、男女1,076名を対象に「定年後の再雇用」に関する調査を実施しました。 エアトリのアンケート結果に基づきながら、現在の定年前後の金銭事情を紐解いていきます。
以下引用
70歳定年法 給料 年金 収入 業務委託契約
引用終
引用元:エアトリ 「定年前の8割以上の人が「定年後の貯蓄額に不安がある」と回答。一方で、再雇用された際の希望年収は実態と大きな乖離が!~エアトリが「定年後の再雇用」に関するアンケートを実施~」 https://www.airtrip-intl.com/news/2019/2823/ 定年前は回答者の半分以上が「年収800万円以上」と回答しています。 特に大企業だと、年収2000万円クラスなことも。 しかし、定年後も年収800万円以上を維持している人は、全体の10%と割合が大きく下がりました。 そして、最も多いのが「300万円以上、400万円未満」で22.2%、次いで「200万円以上、300万円未満」が17.0%という結果です。 さらには、100万円未満になったという人は6.9%もいます。 働き方にもよりますが、イメージとしては半額程度に減ると考えておけばよいでしょう。 例えば
  • 定年前の年収800万円→400万円
  • 定年前の年収600万円→300万円
という風に変わっていきます。 この調査結果を踏まえて「再雇用によって、年収を大きく落としている人が多い」ことがわかりました。 そして、どの程度年収を落としているのかを、実際に筆者がこのデータをまとめてグラフにしてみました。 70歳定年法 給料 年金 収入 業務委託契約 これを見ると以下のことが見えてきます。 ① 定年後に希望する年収と現状の実績は約400万円とほぼ同じ 現役世代の希望額と実際の実績が一致しているので、希望は叶えられていてとりあえずは安心、ともいえます。 ② 現役の平均とは約200万円の差、定年前の最大値とは約400万円の差がある 現役時代、特に定年直前の年収と比べると約半分になってしまいます。 この大きなギャップをどう取るかは人それぞれだと思いますが、老後資金に不安を感じている人は83.1%と、定年後の不安要因の一つといえるでしょう。 とはいえ、現在50代であるバブル世代では、旅行や趣味、交流にお金を使う生活水準をある程度保ちたい、と考える人が今後増えてくるのではないでしょうか。

2. 70歳定年法の施行により定年前後の働き方や給料はどのようになる?

では、70歳定年法が施行されたら、定年前後の働き方や給料にどのような影響を与えるでしょうか。

1)定年前後の働き方

70歳定年法では以下のように変更されています。
  • 定年を70歳まで引き上げ
  • 70歳までの継続雇用制度(再雇用)の導入
  • 定年廃止
  • 高年齢者が希望するときは、70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
  • 高年齢者が希望するときは、70歳まで継続的に社会貢献事業に参加する制度の導入
定年が上がったり、再雇用の年齢が上がったりすることはもちろん、フリーランスなどの業務委託契約やNPO法人などの社会貢献事業といった働き方も増えました。 また、例えばYKKグループは今年度から正社員の定年を廃止するなど、改正法から更にもう一歩踏み込んだ対応をとる企業も出始めています。 参照:YKKグループ、21年度から定年制を廃止、2021年3月3日、日本経済新聞(https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ037XP0T00C21A3000000/) しかし、多くの企業では定年の年齢を引き上げても60歳でいったんリタイアするというシステムは変わらないでしょう。 なぜなら、企業としては定年延長に伴う人件費を抑えたいからです。 そして、70歳定年法が施行された後の定年前後の給料は、これまで以上に差が出ると考えられます。 どの程度差が出るのかについて、解説します。

2) 定年前後の給料のシナリオ

70歳まで働く場合において、まず「70歳で定年を迎える」場合と「60歳から再雇用」になった場合の給料について考えます。 先程のグラフを見るから、年収を以下のように仮定してみます。
  • 定年前(60歳)…年収800万円
  • 定年後(60歳)…年収400万円
現在:60歳定年 65歳まで再雇用 この場合の給与合計は 400万円 x 5 = 2000万円 となります。 70歳定年法施行後 : 65歳定年 70歳まで再雇用 800万円×5=4000万円 400万円×5=2000万円 計 6000万円 となり、現在よりも3倍も収入が確保されることになります。 2025年に65歳定年制が義務化される、との見通しを各専門家は持っています。
以下引用
“現在は努力義務だが、将来は義務化する可能性が高い? 岡本氏、馬場氏、中島氏の3人が「義務化の方向に向かう」と答えた。25年に65歳定年制が完全義務化されると、70歳が具体化しそう。”
引用終
引用元:東洋経済 2020.10.17 特集「定年消滅」p.39 しかし、これは企業側にとっては大きな負担増といえます。 65歳まで全社員のピーク時の年収が維持できるのはよほど業績の良い企業に限られるのではないでしょうか。 また、企業側が活用したい人材だけにその条件を与える、と考えるほうが自然です。 そうすると、以下のシナリオのほうが最低ラインとしては現実的でしょう。 70歳定年法施行後 : 60歳定年 70歳まで再雇用 400万円×10=4000万円 計 4000万円 となり、現在よりも2倍の収入が確保されることになります。 70歳定年法の施行により、様々な条件や仕事内容などに目をつぶれば、最低この年収は70歳まで維持しやすい社会になる、ということは言えそうです。

3. 公的年金収入はどれくらい?

60歳を過ぎると受給資格が得られる、公的年金について下のグラフにまとめました。 70歳定年法 給料 年金 収入 業務委託契約 平均で約150万円、夫婦共稼ぎの場合は約300万円が年間に支給されます。 これは65歳から支給を受ける場合で、年金の受け取り開始時期を遅らせると受取額が増える、ということです。 70歳からの繰り下げ受給の場合 42% 増額されます。 単純に当てはめますと、
  • 平均で約150万円 → 約213万円
  • 夫婦共稼ぎの場合 約300万円 → 約426万円
となる計算です。(あくまでも試算です) 75歳からの繰り下げ受給*の場合 84% 増額されます。 単純に当てはめますと、
  • 平均で約150万円 → 約270万円
  • 夫婦共稼ぎの場合 約300万円 → 約552万円
となる計算です。(あくまでも試算です) *2022年4月施行予定の改正年金法では、繰り下げ受給の上限が現行の70歳から75歳にひきあげられ、増額割合が84%に設定される予定。 年金の考察まとめ 65歳からの受給だと、平均で150万円、夫婦共稼ぎでも300万円となり、希望している400万円には公的年金のみでは届かない。 繰り下げ受給を利用し、夫婦共稼ぎの場合だと400万円以上を公的年金単独で受け取る事ができる。

4. 定年後の生活費はいくら必要?

生命保険文化センターの「生活保障に関する調査(令和元年度)」によると、夫婦2人の場合の最低生活費は、平均22万1,000円で、ゆとりのある生活をするための費用は、月額平均36万1,000万円と認識されているようです。 70歳定年法 給料 年金 収入 業務委託契約

1) 何歳くらいまでの資金計画が必要なの?

厚生労働省のデータから試算された、衝撃的なデータがありますのでご紹介します。 70歳定年法 給料 年金 収入 業務委託契約 80歳まで生存する確率は、男性でも70%以上、女性はほぼ90%です。 90歳まで生存する確率でも、男性が約40%、女性が約65%となっていて誰にも可能性がある水準です。 女性に至ってはなんと!20%近くが100歳まで生存する可能性があるとしています。 これを見ると、男女とも「最低90歳」くらいまでの資金計画が必要なことがわかります。これは驚きですよね。

2) 95歳までの資金計画シュミレーション

これまで以下の要素を見てきました。
  • 定年前後の給与
  • 公的年金の受給額
  • 生活に必要な月収入
  • 80−90歳までの生存確率
本当はこれに企業年金・退職金の話や資産の話もあるので総合的に考察するにはちょっと複雑になってきたなあ、と思っていたところ、前述の金融庁金融審議会の資料にわかりやすいシュミレーション資料が載っていたのでご紹介します。
以下引用
70歳定年法 給料 年金 収入 業務委託契約
引用終
引用元 金融庁金融審議会「市場ワーキング・グループ21回」資料 人生100年時代における資産形成 p.11 https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/market_wg/siryou/20190412.html 前述した平均的生活を送るための月収を25万円とおいて、65歳から95歳までに必要な資金をシュミレートしたもので、とてもわかりやすい内容です。 30年間に必要な資金 : 約1億円 = 25万円 x 12ヶ月 x 30年 = 9,000万円+α 内訳 A 公的年金 :22万円 x 12ヶ月 x 30年 = 8,000万円 B 退職金・確定拠出年金など :2.7-5.5万円 x 12ヶ月 x 30年 = 1,000-2,000万円 :減算 1,000万円 C 資産 :4.1-8.3万円 x 12ヶ月 x30年 = 1,500-3,000万円 D 自力で稼ぐ :0円 ここからは筆者の加工になります。では、前述のゆとりある生活を送るための月収 36万円とした場合のシュミレーションはどのようになるでしょうか? 30年間に必要な資金 : 約1億4,000万円 = 36万円 x 12ヶ月 x 30年 = 1億3,000万円+α 内訳 A 公的年金 :22万円 x 12ヶ月 x 30年 = 8,000万円 B 退職金・確定拠出年金など :2.7-5.5万円 x 12ヶ月 x 30年 = 1,000-2,000万円 :減算 1,000万円 C 資産 :4.1-8.3万円 x 12ヶ月 x30年 = 1,500-3,000万円 D 自力で稼ぐ :0円 E. 不足分 : 4,000万円

3) 不足する4,000万円を補う方法

この不足分を補うことを考えてみましょう。 4,000万円 ÷ 30年 ÷ 12ヶ月 = 11.1万円/月 となり1ヶ月あたり約11万円が不足する計算となりますが、95歳まで働き続けるのは現実的ではないので、80歳まで働き続けると仮定してシュミレーションしてみます。 シュミレーション 以下の仮定で計算するとちょうど1億4000万円くらい確保でき、月々36万円の生活が可能になることになります。 A 公的年金 75歳から繰り下げ受給*を開始 → 9759万円 = 22.1万円 x 1.84 x 12ヶ月 x 20年 B 退職金・確定拠出年金など :2.7-5.5万円 x 12ヶ月 x 30年 = 1,000-2,000万円 :減算 1,000万円 C 資産 :4.1-8.3万円 x 12ヶ月 x30年 = 1,500-3,000万円 D 自力で稼ぐ 65-80歳 まで は自分で働いて月々20万円稼ぐ → 3600万円 = 20万円 x 12ヶ月 x 15年 計 : 1億4359万円 *2022年4月施行予定の改正年金法では、繰り下げ受給の上限が現行の70歳から75歳にひきあげられ、増額割合が84%に設定される予定。 この D 自力で稼ぐ 必要額は人それぞれの状況やライフスタイル、資産状況により異なると思います。 1度ファイナンシャルプランナーに相談してみる価値はありそうです。 少なくとも漠然とした老後への不安は薄れるのではないでしょうか。

5. 60歳以上のシニアにとって適正な収入水準とは?

70歳定年法が施行により、複数の選択肢を企業側も用意しなければいけないですし、働く側も何を選択したいのかを事前に明確にしておく必要があります。 そこで考えておく価値があるのは、 ① 60歳の段階で、あなたの仕事にはいくらの年収がふさわしいのか? ② 現在の年収のまま転職できる可能性はどれくらいあるのか? ③ 今の勤務先があなたをどれくらい必要としそうか? の3点です。 ① あなたにふさわしい年収とは? 前述の年齢別年収のデータをもう一度見てみましょう。 70歳定年法 給料 年金 収入 業務委託契約 このグラフを見ると役職定年・再雇用後の年収は、20−30代前半の若い非管理職と同じような年収です。 再雇用で年収が下がることは、管理職から外れたのだからそうなる、という論理でいけば合っているように見えます。 しかし、定年前後で全く同じ業務を行っているのに、年収は半分、というのは「同一労働同一賃金」の原則に反していますし、 いくらなんでも部長クラスの人が役職から外れただけで20−30代の社員と同等のスキル・能力、という扱いにはムリがあると思います。 確かに全員が有能というわけではありませんから、会社から見て若手と同じかそれ以下の価値しか産み出していないシニアの方もいるでしょう。 自分が果たしてどちらの側に属しているのか? それを確かめる方法を次にお話します。 ② 現在の年収のまま転職できる可能性はどれくらいあるのか? ズバリ、転職エージェントのカウンセリングを受けて、転職の可能性と予想年収を聞くことをおすすめします。 「使える人材」と判断されればすぐに案件を提案されるはずです。 なぜなら、転職を斡旋すれば転職エージェントの売上になりますし、紹介フィーは俗に年収の30%などと言われていますので、年収の高いあなたは彼らにとって良いお客さんだからです。 最近は中高年・シニア専門の転職エージェントも出始めていますので、是非色々と調べてみてください。 また、顧問サービスも多く立ち上がっていますので、そこを訪問してあなたの経験やスキルが市場にどれくらい求められているのかをエージェントの方に聞いてみるのも良いでしょう。 今は50−70代の転職市場が立ち上がるまでの過渡期で、まだマッチングのための仕組みが整っていないのが現状です。 しかし、中小企業・ベンチャーの専門知識を持った即戦力の人材の採用意欲は高い*ため、取引先や知り合いを経由したアナログな情報収集がおすすめです。 また、同じ業界、近い職種で60歳以降も通常の給与体系を維持するような「シニア活用」を打ち出している会社がないかどうか調べてみましょう。 そういった会社の話を聞いてみるのも一つの手段です。 ③ 今の勤務先があなたをどれくらい必要としそうか? 社外の市場での自分の価値がわかったら、今度は社内での自分の価値を推測してみましょう。 原則としては「社外で必要とされない人間は社内でも価値は低い」と思っていただいて良いと思います。 また、60歳以降でも、有利な条件で再雇用された例外的な社員がいないかどうかを調べてみてください、もしいたらその人から情報収集すると良いでしょう。 そして、70歳定年法が施行された後1年以内にあなたの勤務先の動きが必ずありますので、その施策と方向性からシニアを本気で活用しようとしているのかそうでないのかを判断するのがよいでしょう。 これらを検討し、あなたの交渉戦略をあらかじめ作っておくことをおすすめします。 その際、今までお話してきた65-95歳までのマネープラン、自力で稼ぐプランが必要になりますので是非そちらも検討してみてください。

6. あなたの選択肢を増やす ~ 業務委託 ~

70歳定年法 給料 年金 収入 業務委託契約 また、70歳定年法の施行により新しい働き方として注目されつつある「業務委託契約」について紹介します。 業務委託契約としてフリーランスが代表例ですが、フリーランスを本業にしている人の平均収入は517万円です。イメージとしては定年前の人と、役職定年で60歳~70歳まで再雇用されている人の真ん中と考えてよいでしょう。(参照5) もちろん、個人の実力や頑張りによってばらつきはありますが、
  • 経験値が高い
  • 希少性の高い技術を持っている
  • クライアントから高い信頼を得ている
といったことがあれば、年収をさらに上げることができます。 フリーランスで年収が高い人は1000万円を超えることもあり、実力次第で定年退職後のほうが高収入といったことも夢ではありません。 また、すべての会社が採用するわけではありませんが、70歳定年法では会社が業務を業務委託契約として定年後の社員に委託するオプションが示されています。 会社としても正社員ではないのでコストも削減でき、業務内容も明確にできるジョブ型なので、一定のスキルが必要な職種には採用しやすいと思います。 その場合、前の勤務先からの業務委託以外にも仕事を獲得して良いことになりますので、スキルと案件獲得に自信が持てれば、余裕を持って会社側との契約交渉に臨むことができるでしょう。 その意味からも50代のうちに、クラウドワークスのようなクラウドソーシングで業務委託経験を積み始めておくことがオススメです。 次の記事(70歳定年時代を生き抜く③ 中高年・シニアの仕事の探し方(在宅勤務、地方案件有))では、中高年・シニア向けの具体的な仕事の探し方についてお伝えしておりますので、仕事の探し方に不安がある方・より効率の良い仕事の探し方が気になるという方は是非こちらもご参照下さい。 参照 1)定年前の8割以上の人が「定年後の貯蓄額に不安がある」と回答。一方で、再雇用された際の希望年収は実態と大きな乖離が!~エアトリが「定年後の再雇用」に関するアンケートを実施~:https://www.airtrip-intl.com/news/2019/2823/ 2)「65歳定年制」とは?定年延長が義務化するのはいつから?「65歳定年制」とは?定年延長が義務化するのはいつから? ミドルシニアマガジン https://mynavi-ms.jp/magazine/detail/000864.html 3)「基礎年金や厚生年金、平均的にいくらもらっている? 公的年金だけで生活できるかを考えた」MONEY PLUS https://media.moneyforward.com/articles/4745 4) 東洋経済 2020/10/17号 特集「定年消滅」P.50-56 定年後も働きたい職場 P.68 即戦力人材は引く手あまた 5) 日本のフリーランス人口は約300万人。大卒の平均収入は「517万円」 シニアガイド https://seniorguide.jp/article/1201847.html