【50代中高年・シニアのためのプログラミング】コンテンツに価値はない! これからのプログラミング教育とは
更新日:2024.01.31
当スクールの「中高年のためのプログラミング教室」には50~60代の中高年・シニアの生徒さんが在籍されているのですが、「プログラミングが気になるからやってみたい」「これからはプログラミングくらいはできるようになっていたほうが良いのでは?」「なんとなくなにかやってみたい」という人が多いように思います。
目次
1. コンテンツはコモディティ化する。
英会話の教材であれ、プログラミングの教材であれ、紙の書籍だろうが、オンライン教材だろうが、コンテンツはコモディティ化し、最終的には価値がなくなっていく運命にあります。Youtubeやネットを見てください。 あらゆる分野に良質なコンテンツが溢れ、無料のものも有料のものも全く見分けがつかない状態です。 違いはコンテンツの量や質ではなく、ただ「値段がついているかいないか」だけと言っても良いくらいです。 その付いている値段も、コンテンツ以外の部分の付加価値に対して付いていることのほうが多いと思います。例えば、 ● 有料会員の人は、コンテンツをダウンロードできます。 ● 有料会員の人は、広告が表示されません。 などです。英会話スクールを例に考えれば、生徒がお金を払っているのは教材やカリキュラムに対してではなく、勉強を継続する「環境」と「習慣」に対してのほうが多いと思います。勉強するための教室や、そこに行けば丁寧に教えてくれる講師がいて、進捗も管理してくれる、といった部分に付加価値のほとんどがあるのではないでしょうか。 似たような教材は本屋さんの英会話コーナーに行けば、安い値段で死ぬほどいっぱいありますものね。2. 教育業界の「環境と習慣」提供の動き
私は常々スクールの価値は、コンテンツ提供ではなく「環境と習慣」を提供することにある、と言っていますが、今まさにそれを体現している教育サービスが現れていますのでいくつか御紹介しましょう。1.武田塾
「授業よりも、ひとりで勉強する時間のほうが大切」との考え方の元、教えない学習塾として成長しています。 やることは、勉強場所の提供とメンターが進捗管理をするだけです。教材選びには関与しますが、予備校独自の教材は制作していないようです。”武田塾では、毎回「何時から何時まで自習にくる」ということを生徒さんと約束し、その時間にしっかり来ているか毎日確認します。そしてその自習時間でどんな勉強をするのかもすべて指定します。”引用元:武田塾ウェブサイト 武田塾の強み
2.英会話コーチングサービス PROGRIT
こちらも「英会話レッスンは一切行わない」 「学習習慣を身につけられる英語コーチングサービス」というコンセプトの英会話サービスです。 同社の岡田祥吾 代表取締役は以下のように語っています。”英語学習を成功させるうえで最も重要な『継続』をデータに基づいたコーチングによって徹底的にサポートします。プログリットを受講することは、単に英語力を上げることではありません。 英語力を上げる過程で、生活習慣を見直し、生き方を変えることでもあります。英語学習の方法を知り、学習体質を身に着け、将来に渡って英語力を高めることができる人になることでもあります。自信がつき、新しいチャレンジができる自分と出会うことでもあります。”引用元: 株式会社 プログリット ウェブサイト どちらも「なるほど、確かに!」「どーして今まで気が付かなかったんだろう」と納得する考え方と内容ですよね。 教育業界ではありませんが、ライザップのマン・ツー・マンサービスにおける食事管理も似たような考え方なのかもしれませんね。
4. 次に目指すべきなのは「自発性の提供」
前節で御紹介した「環境と習慣」を提供していく教育サービスの流れは、プログラミング教育界にも今後確実に波及していくと思いますが、 私としてはまだ先があると感じています。 それは、「やらされる勉強」「管理されて成果を出す勉強」からの脱却です。 教育者の究極のミッションは、 ● 好奇心を刺激し、「好き」になってもらう。 ことに尽きます。 「好き」になってもらい、「もっと知りたい!」という好奇心を持ってもらいさえすれば、後は勝手に勉強して成長してくれるからです。 その過程で、適宜サポートしてあげさえすれば良いのです。 つまり、藤田 英樹氏の言う以下の理想的な「自律」の状態で勉強や活動を継続できるようになるわけです。 図表引用元:4つの自律性(内発・習慣・意志・自己決定)~アクティブラーニングと成長基盤~ 教育と社会の認知心理学 図解スライド集 藤田 英樹 国立精神・神経センター研究所5. 人と人との接触が必要
これを実現するには「コンテンツ」を提供し、「環境と習慣」を用意しても不十分だと思います。 だからといって私も答えを持っているわけではなく、日々仮説を積み重ねて模索している状態です。 「自発性」を外部から「提供」するなんて矛盾していますよね。 「提供」するというよりは 内部から「引き出す」感じのはずです。「奇跡のレッスン」というNHKの番組をご覧になったことがある方はいらっしゃるでしょうか。 海外のスポーツのコーチが日本の子供たちを指導する姿を描いていますが、 見事に子供たちの自律性や楽しさを引き出し、チームにも結果を出させます。 本当に魔法のようです。これを見る限り、憧れの人との出会いや驚き、仲間との成功体験など、 ●「人と人との接触」による「感情を揺さぶる」経験 が必要なのではないかと考えたりしています。6. コンテンツからコンテキストへ
このように、言葉にできないコンテキスト(文脈)を人から人へ伝えることが、今後の教育のテーマになってくるでしょう。 私も子供のころから今まで、英語から剣道まで様々な分野の様々な先生から色々なことを教わってきました。あなたも思い当たるのではないかと思うのですが、先生から影響を受け続け、あなたの生き方にインパクトをもたらしたものは 教わったコンテンツではなく、 ● 先生のどうでもいい雑談や、独り言だったり、 ● 先生の物事への取り組み方や教えるスタイル だったことが多くなかったですか? 私はそうです。 私の大好きなハイファイセットの「フェアウェルパーティー」という曲の中に“授業などみんな忘れたけれど、あなたのひとみは好きでした”引用元: うたまっぷ.com という歌詞のがあったのを思い出しました。そんなものですよね。 だから、うちのスクールの生徒さんや慶大生スタッフには、 「スクールに来る最大のメリットは授業よりも、超一流のエンジニアの先生方と雑談したり、ランチしたりする時間なんだからね! 」 と口を酸っぱくして言っています。 コンテキスト(文脈)は空気です。 素晴らしい尊敬できる人と同じ空気を吸い、その人の空気感(雰囲気やオーラ)を浴びる。そしてその人のコンテキストを受け取って自分の財産にする。 そしてそれは一生あなたを支え続けてくれる宝物になるんです。