【50代会社員のための定年後の失敗しないキャリア選び】定年後キャリアの現状や「再雇用」と「再就職」のメリット・デメリット
更新日:2024.07.31「定年=リタイア」という時代は終わり、60代以降も体力に無理のないペースで仕事を続けることが一般的となっています。とはいえ、定年はそれまでのキャリアをリセットするタイミング。新たなキャリアの選択に後悔しないよう、50代のうちにしっかりと情報収集や準備を行いたいものです。
この記事では、定年後のキャリアの現状や「再雇用」と「再就職」、また定年後のキャリアを考えるときのポイントなどについてお伝えします。
50代会社員です。10年後に迎える定年後のキャリアについて、漠然とした不安を感じています。後悔しない選択をするには、どのような準備をすればよいでしょうか。
定年後の選択肢としてはまず「再雇用」「再就職」の2つがありますが、再雇用の場合も一定の契約期間が終われば、新しいキャリアを考える必要があります。後悔しない選択をするためには、収入や仕事の内容、その他の条件を吟味しながら、主体的にキャリアを選択する態度が求められます。仕事は待っていてもやってきません。履歴書や面接などで自らをアピールする積極性や、現在のスキルを補強するための努力も必要となるでしょう。
目次
定年後キャリアの現状
実際、定年後にはどのようなキャリアをもつ人が多いのでしょうか。60歳以降のキャリアの状況を統計から見ていきましょう。
収入は?
2019年の平均給与を見ると、60~64歳では415万円、65歳~69歳では332万円、70歳以上では285万円となっています。現役の頃と比べ、定年を機に2割弱給与が減っているという試算です。*1
年齢階層別の平均給与(出典:国税庁「令和2年民間給与実態統計調査」)
60~64歳で転職した場合、賃金が減少した人のほうが61.2%と圧倒的に多くなっています。*2
一方、定年後の再雇用でも、役職が解かれるとともに給与が減少することが一般的です。ある調査では、再雇用後の給与は現役時代の4~6割減少することが分かっています。*3 再雇用、再就職どちらの場合にも、収入が下がってしまうことの方が多いようです。
働き方は?
60歳で定年を迎えた人を見てみると、継続雇用された人は85.5%(子会社・関連会社等での雇用を含む)、継続雇用を希望しない人が14.4%、継続雇用を希望したがされなかった人が0.2%となっており、現状では圧倒的に再雇用という選択をする人が多いことが分かります。*4
求人は?
一方、転職という選択肢をとった場合、60~64歳の新規有効求人倍率は1.75倍、65歳以上も1.1倍と1倍を超えています。1倍を下回っていた20年前に比べると、定年後も仕事を見つけやすくなっているといえるでしょう。*5
*1 国税庁 令和2年「民間給与実態統計調査」
*2 厚生労働省 令和2年「転職者実態調査」
*3 日本経済新聞 2021年2月25日「給与4~6割減が過半、定年後再雇用の厳しい現実」*4 令和2年「高年齢者の雇用状況」
*5 厚生労働省 「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」(平成元年計)
再雇用と再就職、どちらを選ぶ?
現状では、定年後にも同じ職場で働き続ける人が多いことが分かりました。では、再就職と再雇用とでは、どのような違いがあるのでしょうか。そのメリットやデメリットなどを比較してみたいと思います。
再雇用とは?
定年後も継続して同じ会社に雇用されることで、子会社やグループ会社に異動になる場合も含まれます。一旦定年退職した後に新しく雇用契約を結ぶ形となり、嘱託や契約社員として採用されることが多いようです。
メリット&デメリット
再雇用のメリットとしては、次のような事柄が考えられます。
・求職活動をする必要がない。
・慣れた環境で働き続けられる。
逆にデメリットには、以下のようなことが挙げられます。
・役職や仕事内容が変わる場合が多い。
・年収は下がることが多い。
・5年など契約延長期間が限られている。
再就職とは?
再就職とは転職とは異なり「退職したあとに就職すること」を指します。「退職後、少しゆっくりしてから次のキャリアを考えよう」と、再就職を選択する方は一定数いるようです。また、コロナ禍で企業の早期退職者募集が増えたことで、この制度を利用して再就職にチャレンジしようと考える方も多いようです。
メリット&デメリット
再就職のメリットとしては、次のようなことが挙げられます。
・時間に余裕があるため、次の仕事を吟味できる。
・失業手当や再就職手当が受けられる。
一方、デメリットには、次のようなものがあります。
・次の就職までの間、収入の保証がない。
・就職活動をする必要がある。
再就職では、自分の経験やスキルによって、就職先や条件などが選べる一方、就職活動を通して先方に「自分の市場価値」を認めてもらえるかが成功の鍵となります。その意味で、再雇用と比較するとハイリスク・ハイリターンといえます。
年金との兼ね合い
定年後のキャリアで「どれだけの収入を得ればよいか」を考える際に重要になるのは、年金との兼ね合いです。60歳からの働き方によっては、65歳から受け取る年金が満額で受け取れないという場合もあります。
受け取る年金を減らさないためには、次のような方法が考えられます。
・年金の月額と月収をプラスした金額が47万円を超えないような働き方をする。
・年金受給の時期を繰り下げて、70歳以降に受給を開始。
・厚生年金に加入しないフリーランスや自営業としてのキャリアを選ぶ。
とはいえ、収入はキャリアを構成する1つの要素でしかありえません。仕事におけるやりがいや充実感、体力やライフスタイルとのバランスなど、他の構成要素もよく吟味した上で、定年後のキャリアを選びたいものです。
定年後のキャリア対策・準備は?
定年後再雇用を選んだ人でも、ほとんどの場合、契約期間が終われば次のキャリアを考える必要があります。
シニアが仕事を探す際には、
・ハローワーク
・紹介エージェント、人材サービス
・転職サイト
などを利用することになります。ハローワークではセミナーや訓練給付制度といった再就職支援のサービスがあります。また、再就職支援に特化した民間や財団のサービスもあります。シルバー人材センターは定年退職者を対象に職業をあっせんしていますが、臨時や短期軽易な仕事が中心となるため、生活が保障できるほどの収入は期待できないことに注意が必要です。
求職の際には、履歴書や面接などで自らをアピールすることが必要になります。そのためには、一度それまでの「経験やスキルの棚卸し」をし、場合によっては採用する側にとってより魅力ある「スキル」を補強する必要もあるでしょう。
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まとめ
再就職であれ、再雇用であれ、定年を迎えるとそれまでのキャリアを一旦リセットすることになります。
それまでの役職や待遇に固執する人にとっては、定年は「不幸な出来事」でしかありません。
しかし、ある報告書*6によれば、「定年後のキャリアにおいて、体力や気力の低下と向き合いながら、いまある仕事に価値があると感じたとき、人は心から楽しんで仕事に向かうことができる」といいます。
そのためには、
・定年というキャリアの転機をポジティブにとらえる
・将来のキャリアを主体的に選択する
・50代のうちに積極的に行動し、準備する
といったことが必要だと考えられます。
*6リクルート「works report 2021」
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1967年生まれ。慶應義塾大学理工学部大学院修士課程卒。英国国立レスター大学MBA取得。2011年「起業家のためのプログラミング教室」Club86 Startup School(現TechGardenSchool)設立 2017年「中高年のためのプログラミング教室」開始 著書「図解 50代からのプログラミング –未開の能力を発掘♪」「教えて♪ プログラミング」など