【中高年のためのプログラミング教室】中高年・シニアがプログラミングを始める前にやってはいけない5つのこと
更新日:2024.08.26TechGardenSchool代表 高橋与志です! 昨年「教えて!プログラミング」リックテレコム というノンコードの超初心者向け書籍を出版させていただきました。この本を読んだ中高年の方々が当スクールに多数入学されたのが「中高年のためのプログラミング教室」というコンセプト誕生のきっかけとなりました。
ご入学された方々のお話をうかがったりすると、色々な試行錯誤の結果たどり着いたケースが非常に多いです。またPCやITに関する漠然とした不安など「ちょっとしたこと」や「勘違い」でプログラミングやITの勉強に二の足を踏まれるのだなあと、とてももったいないことだと感じています。
”自分はPCとか苦手なので向いていないのでは?”
”以前トライして痛い目にあった”
などの声をお聞きすると残念な気持ちでいっぱいです。正しい効率の良いやり方を少し教えてもらえれば簡単に解決する問題ばかりなのに!
少しでも、皆さんの誤解を解くための記事を今後書いていこうと思います。今回は”やってはいけない5つのこと”をご紹介しますね。
目次
結論:ハードルや希望を高く持ちすぎず、基礎部分を学んでみて、自分にあっているものを見極めることがおすすめ
プログラミングと一言で言っても、さまざまな種類があります。中高年・シニアがプログラミングを始める場合、最初は何を学べばよいのかすらわからない状態です。
そのため、いきなり本を買って独学をしようとしても、自分に合わない、エラーが出てわからないといった理由で挫折しやすくなります。
また、単発のハンズオンセミナーや勉強会、高額のエンジニア・ウェブデザイナー養成スクールなどに通っても、知識の土台がないとついていけなくなる可能性があります。中高年・シニアがプログラミングを始める際は、まずはハードルや希望を高く持ちすぎず、基礎部分からじっくりと学んでいくことが大切です。また、中高年・シニア向けのプログラミングスクールを活用し、ゆっくりとマイペースでも着実にステップアップしていける環境を見つけることがポイントです。
その1:本を買って独学に挑戦すること
日本ほど初心者向けの本が充実している恵まれた国はないのですが、いきなり独学、しかも書籍を買って勉強をはじめることは若い人であってもオススメしません!多くの本がエンジニアによって書かれているためにどうしても言い回しが「専門家」の目線のものになってしまうことが多く、より「正しく」「高い」内容を本能的に目指してしまうからです。それが素人である中高年には全く理解不能「まるで火星の話のような」とっつきにくいものになってしまう原因です。
最近では超初心者向けに懇切丁寧に書かれた良書も多いのですが、たとえコードの内容が何となく理解できたとしても、そもそもPC操作もおぼつかないITリテラシーの基礎ができていない中高年には
「そのコードがどんな場面で使われるのか」
「動かした時どうなるのか」
をイメージするのが難しいと思います。
また最大のハードルが環境設定で、自宅のPCで試そうにもそれができるひとは数%ほどしかいないのではないでしょうか?本編にページ数を割いてしまう関係で、準備段階である環境設定には数ページしか割かれていないケースがほとんどです。もちろんググってそれを補完する能力が中高年の人たちにあるわけもありませんよね。
WordPressやホームページ作成に関する書籍も同じ問題を抱えていますし、初心者が最も興味を示すiPhoneアプリは正直中級者でないと歯が立たないと思います。WordPressやiOSのバージョンの変更が頻繁にあるため画面構成などが変わりやすい、という点も中高年・シニアの初心者が書籍で対応するのは少々大変です。
とはいえ、本は手にとりやすく、少額で学べるメリットなどもあります。しかし、やはり多種多様な本があるため何を選べばよいかわからない点や、エラーやわからないところがあると挫折しやすい点はデメリットとなるでしょう。まずは全体像を理解し、基礎的な部分を学ぶことが大切であり、そのためには簡単な本から手に取ることをおすすめします。具体的には、以下のような書籍であれば50代の初心者でもプログラミングを学びやすいでしょう。
書籍の紹介: 「図解 50代からのプログラミング」高橋与志著 リックテレコム刊
当スクールのスクールレベルのゴールの一つは、「今の自分に必要な書籍を見分けて、必要な部分だけを活用する力」をつけることです。それはもうアマ中級者のレベルであって、6ヶ月、1年と手を動かして勉強してからできることのように思います。更にその領域を抜け、アマ上級者になると「自分に必要な情報はネット上から探す」のがメインになるのが現実でしょう。
その2:職場や知り合いのエンジニアから教わろうとすること
身近な専門家や友人に教わろうとしたり、相談すると最初こそ「いいね!」といって熱心に教えたり、いかにプログラミングが素晴らしいかを語ってくれたりします。同じ目標を持った仲間が増えるのは彼らにとっても嬉しいことだからです。更に親切な人だと環境設定くらいはやってくれるかもしれません。
ところが、いざ勉強する段になって助けを請うと大体以下の展開になります。
長々と一方的に説明される。
↓
あとはググればわかる、と言われる。
これは仕方のないことで、彼ら自身は大抵独学でプログラミングを身につけた「好きで好きで仕方がない」「それを仕事にしている」人たちだからで、初心者の気持ちもわからないし、自力で調べようとしないなんて言語道断、と心の奥では思っているからなのです。つい、プロを育てるモードで接してしまうわけです。
そう言われたら思ってしまいますよね、
「私はプログラミングには向いていないんだ」
「こういう人たちでないとできないんだ」
って!
それよりなにより彼らは「忙しい」し、ずーっと無償であなたを手取り足取り教える「時間」も「理由」もないんですから。
つまり、職場や知り合いのエンジニアから教わる場合、相談しやすい・頼りになるメリットがある一方、何でも手取り足取り全部教えてくれることはないということです。彼らの教えられる時間は限られているわけですから、お互いの関係性を大事にし、何でもかんでも聞いてしまわないように注意をする必要があります。
その3:新しいPCを買いに量販店に行くこと
プログラミング=高いスペックのPCが必要、って思っていませんか? それは大きな勘違いです。中にはMacを持っていないとダメですか?と聞いてくる方も少なくありません。
プログラミング自体はほとんど文字をエディタ(ワードのようなイメージ)で打ち込むだけなのでマシンへの負荷は非常に低いです。仮想サーバ(MAMP XAMPPなど)の立ち上がりのスピードに多少影響はしますが、2−3年前に購入されたPCならまず大丈夫です。
5年前のPCでも整備次第で動くことは動きます。ましてMacである必要はありません。中級以降になってiPhoneアプリなどが見えてきたらMacの購入を検討すれば良いと思います。
焦って量販店に行くとつい買ってしまう方が多く、後で「どうせ買うならMacにすればよかった〜」と悔やむ方も時折いらっしゃいます。購入の際には使用目的に応じて適切にアドバイスできる信頼できる専門家に買い物同行してもらうか、迷ったらMacBook (Air)を購入するのが無難だと思います。
その前に、今お持ちのノートPCの整備をまずしてみることをオススメします。まずするべきは、不要なアプリケーションとファイル(画像など)の削除と、デスクトップなどの整理でしょうか。
メモリの増設など他にも色々できることはありますが、それでもどうしても遅い場合には最後の手段としてクリーンインストールサービスがオススメです(例:PCクリニック 、MacはApple Storeでサービスを受けることができます)。
費用はかかりますが、工場出荷時の状態に戻してくれるサービスです(バックアップをとった上で行いましょう)。私も今のMacは一度クリーンインストールをした経験がありますが、非常に快適になり、PCの寿命が2年程度は伸びた感じがします。
自分のPCの用途に応じて必要なスペックを確認し、必要なら買い替えを検討するようにしましょう。必要なPCスペックの確認方法がわからないという方は、以下の参考記事もあわせてご参照ください。
PCスペック:50代初心者におすすめのプログラミング用パソコンのスペックは、メモリ16GB&3世代前までのCorei5 CPU
Windows:50代からプログラミングを始める中高年におすすめのパソコンとは?【2024年 Windows
Mac:50代からプログラミングを始める中高年におすすめのパソコンとは?【2024年 Mac編】
TechGardenSchoolでは、PCの選び方、整備の仕方などもサポートを受けることができますし、ご入学直後にお手持ちのPCの状況を診断させていただいております。
合わせて読みたい!
その4:単発のハンズオンセミナー・勉強会に行くこと
最近では初心者向けのプログラミングセミナーがよく開催されており、関東圏では種類も量も非常に豊富で素晴らしいことだと思います。無料のものも多く、まずはそこからはじめてみようかな、という方も多いかと思います。ですが結論から申し上げますと、無料であれ有料であれ「単発」で終わるハンズオンセミナーや勉強会へのご参加は正直あまりオススメできません。特に「一般向け」で「10名以上」の形式のものは中高年・シニアの方々には向いていません。
理由は、PC操作のままならない、ITリテラシーの低い中高年の方々が「若い人たち」に混じって「手を動かす」形式のセミナーに参加されても理解もままならないうちに”取り残される”可能性が非常に高いからです。
〜 ブラウザを立ち上げて、このサイトのアクセスしてログインしてください
〜 このコードをコピーしてここに貼り付けてリロードして下さい
と言われたら
まず
「言葉の意味がわからない」
のでもうお手上げですし、10名もいたら講師もそうそう助けてはいられません。まわりにはセミナーや勉強会の”常連”も結構いらっしゃる(無料の勉強会は特に)ので、アウェー感満載です(笑)
つまり、単発のハンズオンセミナー・勉強会は無料のところもあり参加しやすいメリットがある反面、土台となる知識が必要となり、理解がないとついていけないデメリットもあるのです。特に初心者向けや未経験者歓迎などの記述がない場合には、ある程度勉強や実践をしてから参加することが求められるでしょう。
せっかくやる気になって時間を割いてきたのに「やっぱり自分のいるべき場所ではなかった」「やはり向いていない」という気持ちになってしまうのはもったいないと思います。
そういった中高年の方々には、「有料」で最低「3回以上」継続して「PC操作」から「少人数」あるいは「マンツーマン」で教えてもらえる環境が適しているのではないでしょうか。
その5:高額のエンジニア・ウェブデザイナー養成スクールに入学すること
昨今のエンジニア不足から「3ヶ月で稼げるエンジニアに!」「卒業後の就職保証!」などを謳うITスクールや専門学校があります。お金を稼げるゴールを保証するので、受講料が高額であっても入学する生徒さんは納得して高いお金と時間を投資するわけです。
中高年・シニアの皆さんはITで人生を豊かに楽しもうという目的の方がほとんどですので、その目的からいって、卒業の延長線上にプロのエンジニア育成を掲げるスクールが皆さんにそぐわないことはご理解いただけるかと思います。
でも一瞬「定年後に自宅で稼げるようになるかも」という誘惑にかられるかもしれないし、そういった営業トークをするスクールもあるかもしれません。確かに、中には稼げるようになる中高年の方もごくまれにはいるかもしれませんが、いくらエンジニア不足でも「そんなに甘くない」のが現実です。
これは20代のエンジニア転職希望の生徒さんにも申し上げていることですが、スクールレベルの知識と実務経験には天と地の差があり、転職する、フリーランスとして稼ぐ、には実務経験が絶対に必要で、「スクールと実務の谷」を埋める手法はまだ確立されていないのが現状なのです。
また、中高年女性の中には、
「自宅でできる仕事をしたい」
「プログラミングやウェブデザインならできそう」
というご希望の方々も多くいらっしゃいますので、お気持ちはよくわかります。
スクールの先生方とは時折お話しているのですが、自宅でフリーで稼げる人は、色んな意味で
「本当にレベルが高くないといけない」
と思っています。
技術レベルはあって当然として、自分自身で仕事を獲得する営業力と顧客を満足させる仕事の管理能力も兼ね備えていないといけないからです。
そういう意味では、数と中身にはかなり制約があるのですが、まずは
「未経験者でも受け入れてくれる」
組織に入って、地道に腕を磨き、より多くの経験を積むことを若者、中高年を問わずお勧めしています。
一旦安価な方法でじっくりマイペースで継続し、「プログラミングを好き」になってから考えても遅くはありません。趣味にするにせよプロを目指すにせよ「プログラミングを好きで好きでしょうがなくなる」ことが、まずは出発点なのではないでしょうか。
まとめますと、高額のエンジニア・ウェブデザイナー養成スクールは、学習のステップがわかりやすく、体系立てて教えてくれる点がメリットです。しかし、高額な費用がかかる点、自分が合わなくてもコースなどを途中で変えられない可能性がある点には注意が必要となります。自分の目指したいものが明確になっていれば入学を検討してもよいかもしれませんが、最初はそれもわからないものなので、まずは安価・マイペースを優先してみることをおすすめします。
最近Rizapグループが最近「Rizap English」や「Rizap Golf」を展開し、その結果にコミットするビジネスモデル展開に感心しきりなのですが、Rizapが次に進出するのは「プログラミング」かもしれない、と思ったりもしています。その場合、コミットする結果候補としては「就職・転職」「アプリ公開」「ウェブサイト公開」があり、「就職・転職」はムリにしても「アプリ公開」「ウェブサイト公開」には結果にコミットできる可能性があると思います。
それはそれで実現したら素晴らしいと本当に思いますが、皆さんにはそこで終わることなく「継続」することで得られる喜びを、仲間とともに目指して欲しいと思っています。
当スクールはどちらかと言うと「結果」ではなく、プログラミングやITを好きになり、継続できる「プロセス」にコミットするスクールです。好きになり継続すれば「結果」は後からついてくるものと信じています。
勉強の仕方、始め方として
ここまで述べたように、中高年・シニアがプログラミングを始める際には注意すべき点がいくつか存在します。プログラミングと一言で言っても範囲が幅広いため、全部を勉強することは現実的に不可能です。
そのため、まずは自分自身の学習目的や目標レベルを明確にし、プログラミングを学ぶ対象を絞って学ぶことが重要です。はじめに学習目的や目標レベルを決めておかないと、勉強の方向性を間違ってしまい、誤った手段を取って時間・労力が無駄になってしまう可能性があります。
また、最初は環境設定なども苦労して挫折しやすいので、自分のパソコンで見てくれる先生やメンターを見つけることがポイントです。中高年・シニア向けのスクールであれば、中高年・シニア一人ひとりに適したオーダーメイドカリキュラムを考え、あなたにあった学習内容をサポートできます。
また、スクールでは一緒に活動計画を作成して進捗管理をしたり、自分で実際に手を動かしながら進めていくことを支援してくれるため、効率的な学習を実現できます。中高年・シニアがプログラミングを学習していく際の事前準備や学習の流れ、注意点については、以下の参考記事でも解説していますのであわせてご参照ください。
参考記事:【中高年向けプログラミング勉強法】まるでスクールの体験レッスン!勉強手順とおすすめの教材を紹介
まとめ
中高年・シニアがプログラミングを始める場合、最初は何を学べばよいのかすらわからない状態です。プログラミングといっても幅広いため、いきなり本を買って独学に挑戦することはおすすめできません。
職場や知り合いのエンジニアから教わる方法もありますが、仕事で忙しくすべてを教わることは難しいでしょう。また、新しいPCを買う前に、必要なスペックの確認や今あるPCの整備を行うことも重要です。中高年・シニアの多くは独学に不安を抱えているため、スクールなどを活用することも有効な手段となります。
スクールを選ぶ際は、中高年・シニア向けのレベルや学習ペースに合わせてくれるか、一緒に学習計画を考えて併走してくれるかなどを重視していくようにしましょう。
免責事項) 本記事はあくまでも主観に基づいた参考情報であり、使用適用に関しては自己責任でお願い致します。 本記事によってもたらされた不具合や損害、損失に関する責任を当スクールは一切負わないものとします。
大手SIerおよび大手メーカーの情報システム部門で実務経験を積み、現在はITライターとして独立。DX・IT・Webマーケティング分野を中心に多数の記事やコラムを執筆。保有資格:ITストラテジスト、プロジェクトマネージャー、応用情報技術者など。