まだまだ難しい定年後の再就職、うまくいくための秘訣や活用できる制度を紹介
更新日:2024.04.14定年した後でもまだまだ働けると考えている人は多くいます。定年後の再就職は簡単ではありませんが、どのようにすればうまくいくか、解説していきます。
定年後の再就職は難しいと聞いていますが、実際のところがどうなのかと、どうすればうまくいくか知りたい。
定年後の再就職はまだまだ簡単でないのが実情です。一方で、定年後の再就職活動を支援する制度もあります。前もって準備をしながら、積極的に活動することが成功への道です。
目次
定年後の再就職とは?再雇用との違い。
再就職と再雇用は時に混同して使われることもありますが、異なる意味合いを持ちます。再就職とはこれまで勤務していた会社を退職し、別の会社へ就職することです。勤務地が変わったり、新しい仕事のやり方に慣れる必要はありますが、労働環境がよくなったり、やりたかった仕事に挑戦できるメリットもあります。一方、再雇用とは、これまで勤務していた会社にそのまま残って働くことです。ただし、一度形式的に退職した上で再度雇用契約を結ぶこととなり、労働条件が変更されたり、かつての部下の下で働くケースもあります。
2022年現在、定年後の再就職の状況
厚生労働省の令和3年「高年齢者雇用状況等報告」によれば、従業員21人以上の企業232,059社の報告を分析した結果、99.7%の企業が65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済でした。これは「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」に基づく措置であり、原則的には全ての企業で「定年制の廃止」、「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置により65歳まで働けるようになっています。
一方、再就職となるとなかなか難しい様子が見えます。2017年の調査データですが、株式会社メイテックが65歳以上の男女2000人を対象にアンケートを行ったところ、65歳以上の再就職はハードルが高いとされ、要因としては人事担当者や職場全体が消極的であることが挙げられています。
積極的に就職活動をしているシニアは少ない
同アンケートでは求人への応募経験も質問しています。65歳以上の再就職はハードルが高い中、1件も求人に応募していない人が56.1%と半数以上を占めています。応募経験がある人の中では、1~3件ほどに応募した人が30.1%で最も多くなっています。ここからは積極的に再就職のための活動をしているシニアが少ない様子がわかります。アンケートではご自身の労働意欲はあるようでしたので、採用側の消極的な姿勢が応募を躊躇させているのではと推定されます。
フルタイムの雇用は望んでいないシニアが多い
定年後に再就職をする場合、どれくらい働くことを希望している人が多いのでしょうか。引き続き先ほどのアンケートを見てみると、週3~4日働きたいとする人が47.0%、週1~2日働きたいとする人が41.0%となっています。週5日のフルタイムではなく、週の半分程度働きたい人、または時々働きたい人でおよそ二分されていることが見て取れます。
定年後の再就職に活用できる制度
政府は定年後の再就職をサポートする制度を用意しています。仕事探しをする間の生活を保障してくれる失業手当と、再就職に有利になるスキルや資格の獲得を後押ししてくれる教育訓練給付制度を解説します。
60歳以降でも受け取れる失業手当
失業手当は60歳以上でも受け取れます。なお、60歳〜64歳までは企業の再雇用等の制度有無で会社都合または自己都合と扱いが変わる場合があります。65歳以上の場合は高年齢求職者給付金の対象となります。なお雇用保険法改正によって、65歳以上の場合でも週に20時間以上働く場合にっは雇用保険に加入することとなっています。
スキルアップにかかった費用の一部を支給してくれる教育訓練給付
定年後に限った制度ではありませんが、厚生労働大臣が指定する教育訓練講座を受講し修了した場合、支払った費用の一部を支給してくれる制度です。再就職に役立ちそうな資格取得やスキル取得ができる講座も多く、求人に応募する際有利になることが期待できます。離職中の場合には、離職日の翌日から受講開始日までが1年以内であれば制度を利用できます。
定年後の再就職を成功させるために大切なこと
定年後の再就職を成功させるためには、いくつか大切なポイントがあります。
前もってどのような業界や職種に再就職したいか検討しておく
現役時代と同じ業界や同じ職種で再就職をするのか、再就職をきっかけに新しい業界や職種にチャレンジをするのか事前に検討しておきましょう。事前に検討しておくことで、必要な資格やスキルを習得する時間も確保することができます。定年して時間ができてから資格やスキルを取得しようと考える人も多いですが、定年後も何かと忙しかったり、気付いたら仕事をしていないブランクが長くなってしまうこともあります。また、簡単だと思っていた資格やスキルが勉強を始めたら意外と難しいということもあります。きっと自分と資格やスキルとの相性もあるでしょう。こういったことを早めに知るためにも、定年の前からの準備が大切なのです。
どれくらい働きたいのか検討しておく
先のアンケートでもフルタイムではなく週3〜4日、または週1〜2日働きたいという人が大半でした。自分に置き換えて、どれくらい働きたいのか、定年後の生活スタイルを含めて考えましょう。
積極的に求人に応募する
現在では中高年やシニアの転職市場が徐々に拡大してきているとは言え、まだまだ広く行き渡っているとは言い切れない部分があります。せっかく応募しても不採用になるケースも大いに想定されます。ですので一度不採用の通知を受け取っても後ろ向きにならないようにしましょう。ある程度積極的に応募していくことで、採用オファーを獲得できる可能性が高まります。
2021年4月に施行された所謂70歳定年法に基づいて原則的には全ての企業で再雇用などの制度を設けて65歳までの雇用を確保することとなっています(加えて70歳までの就業機会確保が努力義務)。一方、高齢者・シニアの再就職はまだまだ簡単ではない状況があります。再就職を目指す場合には、制度を活用しながら、早めの検討や準備をしておくと良い結果が得やすいでしょう。
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1967年生まれ。慶應義塾大学理工学部大学院修士課程卒。英国国立レスター大学MBA取得。2011年「起業家のためのプログラミング教室」Club86 Startup School(現TechGardenSchool)設立 2017年「中高年のためのプログラミング教室」開始 著書「図解 50代からのプログラミング –未開の能力を発掘♪」「教えて♪ プログラミング」など