Microsoft Power Appsは業務効率化の内製化に最適なローコードツール 〜 セカンドキャリアにも役立つ!
更新日:2024.03.09仕事の内容やフローは各社それぞれ異なっており、既存のアプリでは「かゆいところに手が届かない」と感じることがよくあります。自社に最適化されたアプリを開発するのは難しいと思われがちですが、Microsoftの「Power Apps」を使えばローコードで手軽に独自アプリを開発可能です。業務の効率化につながるため、Power Appsを使いこなすスキルを持っていればセカンドキャリアでも役立つでしょう。
市販のツールではカバーできないような業務が自社にあり、これを効率化したいと考えています。せっかくならセカンドキャリアも見据えてスキルを習得したいのですが、おすすめのツールはありますか?
それならMicrosoftのPower Appsがおすすめです。ローコードで開発できる上にMicrosoft 365のプランのなかにはPower Appsを追加料金なしで使えるものがあり、導入しやすいですよ。それでいて大規模システムやAIを活用した高度な処理もできるため、セカンドキャリアの構築にもおすすめといえます。
目次
結論:Microsoft Power Appsならローコードで、業務の内製化したいアプリ開発にもおすすめ
Microsoft Power Appsなら、プログラミングがほとんどなくても、独自アプリの開発ができます。業務効率化のためにアプリ開発をしたいが、外注すると期間もコストもかかってしまいますが、Power Appsを利用し、内製化できれば、それらのコストを減らすことができます。
ローコードで、多少のカスタマイズも可能で、自分の作りたいアプリにすることができます。使用事例もあり、問い合わせの件数を大幅に減らせたり、紙の使用、労働時間を大きく改善できた事例もあります。
Power Appsとは
まずはPower Appsがどのようなツールなのか解説します。
ローコードで独自アプリを開発できるツール
Power Appsは、プログラミングをほとんどすることなく独自アプリを開発できるツールです。
アプリの開発というと高度なプログラミングのスキル、長い工数、多大なコストがかかるのが一般的です。たとえ業務効率化につながるとわかっていても、二の足を踏む方も多いでしょう。
Power Appsならあらかじめ用意されたテンプレートをもとに、Excelの関数程度の知識で、AIなど高度な処理が可能なアプリを作れます。
Webブラウザ経由で利用可能
Power AppsはMicrosoftのツールなのですが、ブラウザベースで動作するため、Windowsパソコン以外でも動作します。
もちろん開発したアプリもMacはもちろん、iPhoneやAndroidでも利用可能。シームレスに使える便利なアプリを開発可能です。
オフィスでの業務はもちろん営業など外回り向けのアプリも作れるため、さまざまな場面で活用できるアプリを開発できます。
3種類のアプリを開発できる
Power Appsで開発できるアプリは大きく分けて3種類あります。
1つ目は「キャンバスアプリ」
これはキャンバスに絵を描くように、ドラッグ&ドロップでパーツを組み合わせて作成するアプリです。初心者でも比較的簡単にアプリを開発でき、かつレイアウトなどの自由度が高いためデザイン性にも優れています。
2つ目は「モデル駆動型アプリ」
これはさまざまなデータをフォーム、グラフ、ダッシュボードにできるものであり、管理業務に役立つでしょう。
3つ目は「ポータル」
こちらはWebサイト型のアプリを開発できるツールであり、会員専用ページやその認証システムが簡単に構築できます。社内向けのポータルサイトはもちろん、顧客向けのアプリ作成にも利用可能です。
参照元:Microsoft.”僅かなリソースでより迅速にアプリケーションを構築する”.
パソコン工房 NEXMAG.”ローコード開発ツール「Microsoft Power Apps」の使い方”.2022-03-24.
TECHVAN.”Power Apps のアプリ作成方法とは? 基本知識と使い方を解説”.2023-02-14.
おすすめの理由とセカンドキャリアでの優位性
Power Appsがセカンドキャリアで活躍する場面を解説します。
業務アプリの内製化がトレンド
企業などの組織には必ずそれぞれ特有の業務があり、それをサポートするためのアプリを利用しています。
しかしながら、他社製のアプリは多くの企業で使われる機能は実装されているものの、それぞれの組織特有の業務に必要な機能が必ずしも実装されているとは限りません。
かといってカスタマイズしたアプリの開発を発注すると高いコストがかかるでしょう。
そこで、Power Appsの出番です。ローコードでアプリを開発できるため、手軽に組織特有の業務をサポートするためのアプリを開発できます。
セカンドキャリアでの優位性に繋がる(勤務先、転職、副業など)
先述の通り業務アプリの内製化がトレンドとなっている現在、Power Appsのスキルには今後も高い需要が見込まれます。
その需要は現在の職場にとどまらないため、転職や副業といったセカンドキャリアにおいても優位に立てるでしょう。
また、Popwer AppsはWebブラウザ上で動作するツールであることから、自宅などオフィス以外の場所での作業も可能です。
このため住む場所の自由度を高めたり、短い時間で効率よく副業で稼いだりできます。
参照元:ROBO-Pat DX.”ルーティン業務が仕事の生産性を下げる!?効率化する方法とは”.2021-07-20.
類似のツール(Bubble、Google AppSheet)に対する優位性
独自アプリを簡単に開発できるツールはPower Apps以外にも存在します。そのなかでPower Appsがおすすめである理由を解説しましょう。
Office365に標準装備されている
1つ目の理由は、Power AppsがMicrosoftのオフィススイートであるOffice365の一部だという点です。
Word、Excel、PowerPointといったOffice365のツールはビジネスのデファクトともいえる存在であり、多くの組織で利用されています。
Power AppsはOffice365の一部だけにそのなかの連携に優れており、業務上必要となるアプリを開発しやすいです。
また、業務自動化ツールのPower Automateとの連携も強力で、人間がやらなくてはならない仕事を減らせるでしょう。
他社製ツールもある程度Officeとの連携はできますが、やはりMicrosoft製に比べると機能が劣ります。
Microsoft製品との連携に優れている
Power AppsはMicrosoft Office以外のMicrosoft製品との連携も可能です。
そのなかにはパソコン上での作業を自動化するPower Automateが含まれ、Power Appsと組み合わせればルーティンワークの工数を大きく削減できます。
さらに、AI BuilderなどMicrosoftが力を入れているAI製品との連携も可能で、感情分析やカテゴリ検出など高度な処理を実行するアプリをローコードで実現できるでしょう。
AIとの連携が容易
ChatGPTなどMicrosoftはAIに力を入れており、Power Appsからも強力なAI機能を利用可能です。
たとえばPower AppsからAI Builderを利用して感情分析などをおこなったり、会話型のAIである「Copilot」を利用できたりします。
Copilotはアプリの開発にも利用でき、たとえば「時間と経費のレポートを提出するためのアプリを作成」などと具体的に指示すれば雛形を自動的に生成できます。
アプリ開発後だけでなくアプリ開発に関しても効率化をおこなえるでしょう。
他社のアプリ開発ツールもこれからはAIに力を入れていくと考えられますが、今のところMicrosoftのPower Appsに一日の長があるといわざるを得ません。
ローコードなので汎用性や拡張性が高い
独自アプリ開発ツールのなかには、一切プログラミングが不要なノーコードツールと、少しだけプログラミングが可能なローコードツールがあります。
BubbleやGoogle AppSheetなどのノーコードツールはプログラミングの知識なしにアプリが開発できるためお手軽ですが、お仕着せの機能しか利用できないのがデメリット。組織独自の業務に最適化できるとは限りません。
これに対し、Power Appsはローコードツールであり、ある程度処理の内容をカスタマイズ可能です。プログラミングが必要といってもExcelの関数程度の知識があれば十分です。
参照元:GMO Internet Group.”Power Apps と Power Automateの連携で簡単アプリ開発”.2022-07-06.
Microsoft.”Power Apps の AI Builder の概要”.2023-03-16.
ASCII.”マイクロソフト、会話型AI「Copilot」をローコード開発ツール「Power Apps」に統合”.2023-03-17.
ez office.”ノーコード・ローコードとは何?それぞれの特徴とメリットをまるっと解説!”.2022-12-13.
Power Appsの活用事例
Power Appsはすでに日本を含む世界中で活用されています。その事例をご紹介しましょう。
新型コロナウイルスの現場でPower Appsを活用
1つ目は新型コロナウイルスの現場で活用された事例です。
神戸市はPower Appsを活用し、たった一人の職員が1週間で定額給付金の申請状況確認サイトを構築しました。このサイトの構築により、コールセンターへの問い合わせがピーク時の1日約4万件から約3千件に減少したといいます(サイトでの問い合わせは1日約3万5千件)。
ほかにも新型コロナウイルス健康相談チャットボットを作成するなど、Power Appsによってタイムリーに必要となる業務の早期効率化を実現したよい事例です。
デジタル化で事務処理と紙の使用量を大幅削減
イギリスのヒースロー空港では事務処理が多く、そのために多くの人員と大量の紙が必要となっていました。
そこでPower Appsを使って合計で30のアプリを構築したところ、大きく改善できたといいます。
その量は車両セキュリティアプリだけでも年間で950時間の労働時間と75,000枚の紙に相当し、コスト削減に大きく寄与したとのことです。
顧客情報・営業情報の一元管理
顧客サポートの充実には全社的な顧客情報や営業情報の一元化が有効ですが、そのような大規模なシステムの開発には一般的に時間とコストがかかります。
しかしながら、オーストラリアの大手通信会社はPower Appsによって問い合わせに対する解決システムを簡単に構築しました。
顧客からの問い合わせ情報はすべての従業員に共有され、関連情報やコメントを記載可能です。管理者は進行状況を確認し、必要に応じてフォローできます。
Power Appsはこのような大規模なシステムの開発にも利用できる、非常に懐の深いアプリなのです。
参照元:Microsoft.”神戸市と日本マイクロソフトが包括連携協定を締結”.2020-06-04.
Microsoft.”新型コロナウイルス感染症の軽症者向けの「健康管理アプリケーション」の提供を技術協力 全国の自治体で活用できるオープンソースとして本日公開”.2020-06-23.
GERALD.”Power Appsとは?できることや使い方の事例”.2022-09-29.
BOLT.”PowerApps活用事例7選!よくある課題別の活用方法も解説します!”.2022-03-31.
Power Appsの始め方と学習方法
Power Appsのスキルを身につけたい方向けに、どのように始めればよいかや、学習方法を解説します。
試用版プランや開発者プランでお試し
Power Appsは有償ツールですが、無料でお試し可能です。
その方法の1つが試用版プラン。30日間無料で利用できますので、Power Appsがどのようなものなのかや、どのような業務に活用できるか確認できます。特にあらかじめ用意されたテンプレートを使ってみるとわかりやすいでしょう。
もう1つの方法が開発者プランの利用です。これは開発とテストを目的にする方向けのプランであり、無料でPower Appsを利用可能です。
ただし、開発したアプリを実際に運用する場合は有料プランが必要になるので注意してください。
また、Microsoft365のプランのなかにはPower Appsが利用可能なものがあるため、自社の契約を確認してみるとよいでしょう。
公式サイトや本、動画で学ぶ
Power Appsがどのようなツールなのかわかったら、公式サイトや書籍、動画で学びましょう。
先述の通りPower Appsはすでに世界中で使われているツールであり、日本でも多くのWebサイト、書籍、動画による解説が利用可能です。
Webサイトや動画のなかには無料で利用できるものも多く、手軽にPower Appsのスキルを身につけられます。
参照元:Microsoft.”Power Apps 開発者プランにサインアップ”.2023-03-15.
テックアップライフ.”[入門]Power Appsを独学で習得する方法”.2023-03-06.
まとめ
Power Appsは独自アプリを簡単に構築できるツールであり、そのスキルはこれからの少子高齢化社会において欠かせないものといえます。
単なるお助けアプリ作成にとどまらず、大規模なシステムやAIを活用した高度な処理にまで対応しており、Power Appsを使いこなせればセカンドキャリアにおいて優位に立てること間違いなしです。
まずは無料で使ってみて、面白そうだと感じたらWebサイトや本、動画、プログラミングスクールでスキル向上を目指してみてください。
Power AppsならTechGardenSchoolがオススメ!
セカンドキャリアに役立つ無料コンテンツもあります!
次に読みたい
DX化が進む近年では、業務効率化やコスト削減に貢献する便利なサービスが次々と登場しています。コード…
デジタルテクノロジーが発達し、どの企業も経営目標にDX化を挙げています。またDX化に資する人材とし…
RPAは、パソコン上の動作をロボットが代行し、業務効率化や自動化を実現するツールです。Excel(…
旧帝大大学院でCPU設計の研究をおこなう。大手半導体メーカーでHW/SWの研究開発に長年従事、アメリカの大学へ留学も経験する。 現在は合同会社エーズテックの代表として半導体製品のHW/SW設計を請け負うかたわら、Webライターとしても活動をおこなってる。