50代で早期退職したときの退職金と税金を開設。いくらあれば大丈夫?早期退職とセカンドキャリア

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50代で早期退職したときの退職金と税金を開設。いくらあれば大丈夫?早期退職とセカンドキャリア

早期退職のタイミングによって退職金の金額は変わります。早期退職を視野に入れる場合、正確なライフプランを立てるためには、年代別にもらえる退職金を知っておくことが大切です。

そこで今回は、早期退職したときの退職金について年代別にご紹介します。また、退職金を受け取ったときの所得税・住民税などの計算にも触れていますので、あわせてチェックしてみてください。

大学を卒業してから総合職として勤務してきましたが、早期退職を検討しています。現在の年齢は50歳です。世間では55歳くらいまでに退職した場合、目安としてどれくらいの退職金がもらえるでしょうか?

大卒で総合職相当(事務・技術労働者)の立場として30年間勤務した50代前半の方であれば、自己都合で退職する場合だと目安として1,700万円ほど支給されます。ちなみに同じ条件で50代後半まで勤務すれば、約2,160万円まで増えます。数年ずれるだけでも大きく変化するので、早期退職のタイミングは慎重に検討しましょう。

結論:早期退職時の不安を解消するなら、退職金を知り資金計画を立て必要なら学び直しをして稼ぐ準備をする

近年では、早期退職を募集する企業が増えてきたことに伴い、早期退職を検討する50代会社員も増えています。早期退職を検討する際は、退職金や早期退職後のライフプラン、生活費などを踏まえて、資金計画を立てることが大切です。また、早期退職後のお金の不安や社会からの孤立を解消するためには、生涯にわたって仕事を続けていくことも大事なポイントとなります。

早期退職後のセカンドキャリアの準備にあたっては、学び直しと稼ぎ直しが重要です。これまで培ってきた経験やスキルの棚卸しを行ったうえで、自分に足りない部分を中心に学び直しを行っていきましょう。そして新たに学んだ知識・スキルを活かし、クラウドワークスの案件や友人・知り合いの手伝いなどを通じて、稼ぎ直しにも挑戦してみてください。

早期退職者を募集する企業が増加

大手企業を中心に、早期退職者を募集する企業が増加しています。たとえば、コニカミノルタはペーパーレス化が進む現代のビジネス環境で複合機事業などが不振となり、2025年3月末までに国内外で企業全体の6%にあたる2,400人規模の早期退職を募集しています。

また、早期退職者の募集は、業績不振に陥っている企業だけでなく、業績が好調な企業においても見られます。たとえば、増収増益を見込む資生堂は、収益性が高いブランドに経営資源を集中させるために、国内1,500人規模の早期退職を募集しています。

参照元:読売新聞オンライン「早期・希望退職を募集する大手企業続出、3年ぶりに1万人超の可能性…黒字のうちに構造改革か」

早期退職した場合の退職金【年代別】

「賃金事情等総合調査 退職金、年金及び定年制事情調査」(政府統計の総合窓口e-Stat)を参考に、2021年における大学卒の総合職相当(事務・技術労働者)が退職した場合の退職金総額について、年代ごとにまとめてみます。

会社都合の場合

会社都合の場合、全産業で集計した退職金総額は下記の通りです。

勤続年数 退職金総額(円)
3年(25歳) 690,000
5年(27歳) 1,180,000
10年(32歳) 3,102,000
15年(37歳) 5,779,000
20年(42歳) 9,531,000
25年(47歳) 13,938,000
30年(52歳) 19,154,000
35年(57歳) 23,649,000

総合職相当の方が、50代前半~50代後半で会社都合で早期退職すると、1,900万円~2,360万円ほどもらえることがわかります。

参照元:賃金事情等総合調査 退職金、年金及び定年制事情調査(政府統計の総合窓口e-Stat)

自己都合の場合

自己都合の場合、全産業で集計した退職金総額は下記の通りです。

勤続年数 退職金総額(円)
3年(25歳) 323,000
5年(27歳) 594,000
10年(32歳) 1,799,000
15年(37歳) 3,873,000
20年(42歳) 7,265,000
25年(47歳) 11,431,000
30年(52歳) 17,067,000
35年(57歳) 21,634,000

総合職相当の方が、50代前半~50代後半で自己都合で早期退職すると、1,700万円~2,160万円ほどもらえることがわかります。

参照元:賃金事情等総合調査 退職金、年金及び定年制事情調査(政府統計の総合窓口e-Stat)

早期退職で退職金にかかる税金

ここからは早期退職の退職金にかかる税金をシミュレーションします。シミュレーションの前提情報は下記の通りです。

【前提情報】

年齢:55歳
勤続年数:33年
退職金:1,900万円

まずは所得税と住民税の計算方法から解説します。

所得税と住民税の計算式

所得税と住民税の計算式は下記の通りです。

所得税={課税退職所得金額(A)×税率(B)-控除額(C)}×1.021
市町村民税=課税退職所得金額(A)×6%
道府県民税=課税退職所得金額(A)×4%

「1.021」という数字は、復興特別所得税の追加課税を反映しています。

課税退職所得金額、税率、控除額についてそれぞれ確認してみます。

【課税退職所得金額(A)】

課税退職所得金額の計算式は下記の通りです。

課税退職所得金額=(退職金の額-退職所得控除額)÷2

なお、退職所得控除額は勤続年数によって変わります。

勤続年数 退職所得控除額
20年以下 40万円×勤続年数(最低80万円)
20年超 800万円+70万円×(勤続年数-20年)

【税率(B)、控除額(C)】

税率と控除額は下記の通りです。2)

課税退職所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% -
195万円超 330万円以下 10% 9.75万円
330万円超 695万円以下 20% 42.75万円
695万円超 900万円以下 23% 63.60万円
900万円超 1,800万円以下 33% 153.60万円
1,800万円超 4000万円以下 40% 279.60万円
4,000万円超 45% 479.60万円

参照元:
1) 人事院ホームページ 1 退職手当制度の概要 :課税退職所得金額別の税率及び控除額より
2) 国税庁ホームページ 別紙 退職所得の源泉徴収税額の速算表より

所得税と住民税の計算例

前提情報で挙げたとおり、勤続33年で早期退職して、退職金が1,900万円だったとして計算をします。

退職所得控除額、課税退職所得金額、最終的な所得税・住民税の金額は下記の通りです。

退職所得控除額
=(33-20)×70万円+800万円
=1,710万円

課税退職所得金額
=(1,900万円-1,710万円)÷2
=95万円

所得税
=(95万円×5%-0円)×1.021
=4万8,497.5円
=4万8,497円 ※1円未満は切り捨て

市町村民税
=95万円×6%
=5万7,000円

道府県民税
=95万円×4%
=3万8,000円

住民税
=5万7,000円+3万8,000円
=9万5,000円

退職金にかかる税金は、勤続年数が長いほど安くなる仕組みであり、早期退職するタイミングによっては税金が高くなります。税金を正確に計算してから退職の時期を検討しましょう。

早期退職による退職金の割増事例

大企業で早期退職の募集が行われ、退職金が割り増しされる事例が話題となっています。

たとえば、ホンダは2011年度に早期退職制度を廃止していましたが、2021年度に再び早期退職制度「ライフシフト・プログラム(LSP)」を導入しました。対象者は55歳からとなっており、応募者には退職金を上乗せして支給する仕組みとなっています。

当初、経営陣は早期退職制度の利用者を1,000人程度と見込んでいましたが、結果として希望者が殺到して想定人数の2.5倍まで膨れ上がりました。

最近では、フリーランスの働き方が主流となってきており、退職後に働く手段を確保する難易度は従来より易しくなっています。早期退職のリスクよりも退職金の割り増しというメリットが上回った結果ではないでしょうか。

参照元:
ホンダの早期退職制度、2000人以上応募…EV開発など世代交代へ(読売新聞オンライン 2021/08/05)
ホンダ早期退職者2500人の衝撃、人材流出が多い「リストラ標的20拠点」が内部資料で判明(DIAMOND online 2022.4.19)

いくらあれば50代で早期退職してセミリタイアが可能?

50代で早期退職を検討している方のなかには、いくらあれば50代でセミリタイアしても大丈夫なのか気になっている方も多いでしょう。セミリタイアに必要な資金額は、家族構成や生活水準、年金額、今後のライフプランなどによって一人ひとり異なるため、一概に算出することはできません。そのうえで、考え方の目安として、以下の一例をご紹介します。


【前提条件】


・50歳で早期退職、その後90歳までの40年間の生活費を想定する

・生活費を毎月27万円とする(40年間の合計生活費は27万円×12ヶ月×40年=1億2,960万円)

・年金額(夫婦2人分)は毎月20万円とし、65歳から90まで25年間受け取る(25年間の合計年金額は20万円×12ヶ月×25年=6,000万円)


上記の前提条件で考えると、セミリタイアに必要な金額は1億2,960万円-6,000万円=6,960万円となります。この金額を、貯蓄や退職金などで準備する必要があるということです。しかし、繰り返しになりますが、必要な金額は一人ひとり異なります。早期退職の年齢を遅らせる、生活費を下げるなどの工夫によって、必要金額を下げることもできるでしょう。


参照元:アドバイザーナビ株式会社「50代でセミリタイアは可能?50代の早期退職に必要な金額とシミュレーションを徹底解説!」

一生働けるようにしておけば、お金や精神的な心配のハードルも低くなる

先ほどのセミリタイアに必要な金額の一例を見て、「そんな大金用意できない」と不安になった方も多いのではないでしょうか。そんな不安を解消するためのおすすめの方法は、早期退職した後も何かしらの形で働き続けることです。

リタイアで働かなくなってしまうと貯金を切り崩すことになり不安

早期退職をした後、完全リタイア状態になって全く働かなくなってしまうと、これまで蓄えた貯金を切り崩すことになり不安を感じます。早期退職までに多額の貯金ができていたとしても、毎月減っていく通帳残高を見ると、ほとんどの方が精神的に心配になってしまうはずです。貯金が減っていく不安を和らげるためには、早期退職後も一生涯続けられる仕事を見つけて、定期収入を得ていくことが大切です。

社会的なつながりがないと精神的にも不安

早期退職の不安は、お金に限った話ではありません。たとえお金の面では心配がなかったとしても、早期退職をして社会的なつながりがなくなると、精神的に不安を感じやすいものです。人は社会的動物ですので、社会や人との接点を持ち続けることが重要です。早期退職後に不安や孤独を感じないようにするためには、仕事やボランティア活動などを通じて、社会や人との接点を作っていく必要があります。

働き続けるために、セカンドキャリアを考える

お金の安心感や社会的なつながりを得るために、早期退職後も働き続ける重要性についてご理解いただけたかと思います。早期退職後も仕事を続けていくうえでは、自分自身のセカンドキャリアを考えることが大切です。人生100年時代となり、少子高齢化により生産年齢人口が減少している日本では、一生涯働き続ける重要性が高まっています。早期退職後も活躍し続けるために、セカンドキャリアについて十分に考えていきましょう。

早期退職後のセカンドキャリアに備える学び直しと稼ぎ直しを

早期退職後のセカンドキャリアを考えていくにあたっては、学び直しと稼ぎ直しの2つの観点が重要となります。ここでは、学び直しと稼ぎ直しについてそれぞれ解説します。

今までの経験、スキルの棚卸し

まず、学び直しと稼ぎ直しのそれぞれに共通する前提事項として、今までの経験やスキルの棚卸しをしていくことが必要です。これまで経験してきた業界や職種、プロジェクトなどを洗い出し、現在までに培ってきた知識やスキルを列挙してみましょう。これから新たに学び直し・稼ぎ直しを行っていくためには、自分自身の現在地点を明確にすることが大切です。

学び直し

学び直しとは、社会やビジネス環境の変化にあわせて、今後求められる知識やスキルを新たに習得していくことを指します。学び直しを行うためには、まずはこれからのビジネス社会で重要となる領域(例:データ分析、AIなど)のなかから自分自身が興味のある分野を選びます。

そして、学びたい分野で求められる知識・スキルと現時点の自分自身の知識・スキルを照らし合わせ、現在の自分に足りない部分を明確にしていくことが重要です。現在の自分に足りない部分が明確になったら、自分に必要な知識・スキルを得るために学習を進めていきましょう。

稼ぎ直し

稼ぎ直しとは、習得した知識やスキルを使って稼いでいくことです。そのため、稼ぎ直しは学び直しとセットで考えることが基本となります。これまで会社からの給料や学生時代のアルバイトなどでしか稼ぐ経験をしてこなかった方にとっては、稼ぎ直しと聞くと難しく思うかもしれません。もちろん自分でお金を稼ぐのは簡単なことではありませんが、自分で稼ぐことを体験することで、早期退職後のセカンドキャリアにとって大きくプラスに働きます。

稼ぎ直しといっても、いきなり大金を稼ぐことを狙う必要はありません。まずは小さい仕事からでも良いので、学んだ知識・スキルを活かしてやってみることが大切です。稼ぎ直しを行う際は、クラウドワークスなどのサイトを使う方法や、友人や知り合いからのお願いに対応する方法などがあります。


クラウドワークスを使った稼ぎ直しの方法やポイントについては、以下の参考記事もあわせてご参照ください。

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まとめ

今回は50代での早期退職を検討している方に向けて、年代別に退職金の金額をまとめるとともに、税金の計算方法まで解説しました。早期退職後の資金計画を立てるイメージが湧いてきたのではないでしょうか。

また、大企業で早期退職の募集が行われ、予想以上に応募者が殺到してしまった事例もご紹介しました。フリーランスとしての働き方が珍しくなくなった現代において、早期退職に対するハードルも今までより下がっているようです。

中高年の方で現在の働き方に疑問を感じている場合は、早期退職とフリーランスの働き方を検討してみるのも悪くないでしょう。

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