早期退職した時、iDeCoと退職金はどうなるの?
2022.12.01老後の資産を確保する手段として、iDeCoの加入を検討している方も多いでしょう。ただ、早期退職する場合に自由に資産を引きだせるのか気になるところです。
今回は、早期退職したときにiDeCoは資産を引きだせるのかを知るために、iDeCoにおける給付請求の条件や脱退一時金の仕組みについて解説します。
また、すでに企業型の確定拠出年金に加入している方に向けて、早期退職したときiDeCoに資産を移換させる必要性やその流れについても触れています。早期退職とiDeCoの関係が知りたい方はぜひ参考にしてみてください。

老後の資産を確保するためにiDeCoを検討していますが、早期退職をすることになった場合、退職金として引き出せるのか不安です。iDeCoの引き出し条件はどのように定められているのでしょうか?
iDeCoは、原則として60歳以降に給付請求を行うことで、積立金額を老齢給付金として受け取れます。60歳前に脱退一時金として受け取ることも可能ですが、資産が少ない場合でないと受け取れません。 したがって、早期退職のタイミングで退職金として受け取ることは難しいです。

目次
早期退職でも引き出せる? iDeCoにおける給付請求の条件
iDeCoは、国民年金や厚生年金とは別に給付を受けられる私的年金制度です。自分で決めた掛金額を積み立て・運用していくことで、将来に向けて資産を形成します。
会社員など(厚生年金の被保険者)だけでなく、20歳以上60歳未満の自営業者とその家族、フリーランス、学生など、幅広い人々が加入できます。
原則として60歳以降に給付請求を行うことで、積立金額を老齢給付金として受け取れるルールです。
なお、60歳から受け取るには最低10年以上の加入期間が必要であり、10年に満たない場合は受給開始年齢が繰り下がる(増えていく)仕組みになっています。たとえば、加入期間が8年以上10年未満である場合、受給開始年齢は61歳です。
このようなルールをふまえると、iDeCoに加入した場合、60歳未満で早期退職した時点では、まとまったお金を受け取れないとわかるでしょう。
早期退職でiDeCoの脱退一時金を受け取れるケース
iDeCoは、原則として60歳まで資産を引き出しできないので、早期退職のタイミングでは必要なお金を受給できないことをお伝えしました。ただし、60歳前に早期退職した場合であっても、やむを得ない事情が認められる場合、iDeCoを脱退して一時金を受け取れるケースがあります。
具体的には以下の条件すべてに該当すると脱退一時金を受け取れます。
・60歳未満である
・企業型DCの加入者でない
・iDeCoに加入できない者である
・日本国籍を有する海外居住者(20歳以上60歳未満)でない
・障害給付金の受給権者でない
・企業型DCの加入者およびiDeCoの加入者として掛金を拠出した期間が5年以内である、あるいは個人別管理資産額が25万円以下である
・最後に企業型DC、あるいはiDeCoの資格を喪失してから2年以内である
掛金を拠出した期間が5年以下であり、個人別管理資産額が25万円以下であることから、結論として資産が少ない場合でないと受給できません。したがってiDeCoでは、早期退職をしたときに巨額の資金を引きだすのは難しいとわかります。
早期退職でiDeCoの脱退一時金を受け取るときの注意点
iDeCoは、一括受け取り、分割受け取り、一時金と年金の併用などの受取方法を選択でき、それぞれの受取方法で税金の控除を受けられます。
たとえば、一括で受け取った場合は退職所得控除、分割で受け取った場合は公的年金等控除として、税制優遇措置が受けられます。
ただし、脱退一時金として受給する場合は、一時所得として課税対象です。
また、60歳を迎える前に脱退一時金として受給すると、退職後の備えが不足してしまいます。ライフプランをよく検討してから受給の手続きをすることが重要です。
企業型DC加入者が早期退職する場合はiDeCoに資金を移換させる?
企業型DC加入者が早期退職する場合は、iDeCoに資金を移換させる必要性があるのでしょうか? 結論として、基本的にiDeCoへ資金を移換させる必要性があります。
iDeCoに資金を移換させなくてはならない理由
確定拠出年金制度は、企業型DCと個人型DCに分かれており、個人型DCがiDeCoをさします。企業型DCに加入している場合、早期退職により加入者資格がなくなってから半年何もしないで放置していると、国民年金基金連合会という国の機関に自動で移換され、特定運営管理機関手数料3,300円と連合会手数料1,048円が発生します。
また、移換されてから4か月が経過すると、移換中に月額57円の手数料が発生して資産が減っていきます。移換されると現金のままで管理され、運用について指図できないだけでなく、60歳になったときも移換状態のままでは受給できません。
したがって、企業型DCの加入者が早期退職した場合は、脱退一時金の支給要件に該当しなければ、企業型DCの資産をiDeCoに移換することになります。
iDeCoに資金を移換させるときの流れ
iDeCoは、銀行や証券会社、保険会社など、さまざまな運営管理機関から加入可能です。会社員が早期退職によって企業型DCからiDeCoに移換するときは、資産を移換する運営管理機関を決定します。
iDeCoに資産を移換する流れを知るために、Rakuten証券の申込方法をご紹介しましょう。
【ステップ1:Webサイトで加入者情報を入力する】
資料請求が完了すると、楽天証券から申込書類一式が送付されます。
【ステップ2:申込書類に必要事項を記載する】
事業主の証明書に関しては、勤務先の人事部などで記載してもらう必要があります。
【ステップ3:楽天証券に申込書類を返送する】
必要書類を添付してから楽天証券に返送します。
【ステップ4:手続きの完了と各種書類の到着を確認する】
国民年金基金連合会の審査があるため、手続完了までに1か月~2か月ほどかかります。また、移換した資産が反映されるまで、さらに1か月~2か月ほど待たなければなりません。
加入審査が完了したあとには、「個人型年金加入確認通知書」「口座開設のお知らせ」「コールセンター/インターネットパスワードの設定のお知らせ」が届くので、なくさないように保管します。
iDeCoを申し込むときの運営管理機関の選び方
ここまでRakuten証券における申し込みの流れをお伝えしましたが、ほかにも三菱UFJ銀行などで申し込めます。どの運営管理機関を選べばよいのか、迷ってしまう方もいるかもしれません。
運営管理機関を選ぶときにはいくつか着目すべきポイントがあります。たとえば、運営管理機関ごとに運用商品のラインナップが異なっているので、自分で運用したい運用商品があるかどうかをチェックしましょう。
また、サービスの利用しやすさを重視するのであれば、ホームページや書類のわかりやすさ、コールセンターの対応などにも着目します。そのほか、開設した口座にかかる管理手数料もそれぞれ異なるので、納得できる金額の運営管理機関を選びましょう。
まとめ
今回は、iDeCoは早期退職をしたときに退職金として資金を引き出せるのかというテーマについて解説しました。結論としてiDeCoは、原則として60歳以上でなければ資金を引きだせません。
脱退一時金として受け取る方法もありますが、資産が少ない場合に限られており、退職金として受け取るのは難しくなっています。
したがって、自営業者やフリーランスなどのiDeCo加入者が職を失い早期退職した場合、60歳になるまでの生活費を別の方法で確保しなければなりません。在宅ワークで稼げるスキルを習得しておいたほうが無難でしょう。
在宅ワークで稼げるスキルとしておすすめなのがプログラミングです。プログラミングはパソコンとインターネット環境があれば、手入力で業務を遂行できます。身体を動かす必要がないので、体力が落ちてしまっている方でも副業感覚で収入を獲得できるでしょう。
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