【将来が不安な50代】キャリアの不安を覚える会社員がすべき2ステップ
更新日:2024.10.28近年、ミドル・中高年層においてキャリアの不安を感じる人々が増加していることが調査結果(※1)から明らかになっています。50代の方々が不安を抱えている理由は、定年延長やコロナ禍など外的要因が多ことが多く挙げられます。ではこの不安とどう向き合い、どう対処すれば良いか、この記事が『ガイダンス』となるように説明をしていきます。
※1 「コロナ禍におけるミドルマネジメントの不安」(株式会社レンズアソシエイツ、2022年4月19日発表)
なんとなく、漠然とキャリアに不安を感じています。50代でこのような不安を感じている人は多いのでしょうか。また、 この不安をどのように解消すれば良いか、方法を教えてください。
定年延長や働き方の変化、コロナ禍による業績不安定化や事業変化によって、50代がストレスを受けやすい状況となっています。その結果、多くの方が何らかの不安を抱えているようです。不安の原因が『曖昧なキャリアプラン』にある場合は、プランの再設計とスキルアップの計画によって解消することもあります。
目次
結論:50代会社員のキャリア不安を解消するための2ステップは「ライフプラン・キャリアプランの再検討」と「スキルアップ・学び直し」
50代会社員の方が感じるキャリアに対する漠然とした不安を解消するためには以下の2ステップを踏むことが重要です。
①ライフプラン・キャリアプランの再検討
ライフプランとキャリアプランを再評価しましょう。ご自身のスキルを棚卸しし、得意分野を見つけ出すことも大切です。定年後にやりたい働き方に必要な知識は何か、どのスキルを掛け合わせれば再就職や起業などに役立つかを考えます。将来の目標や希望を明確にし、それに合ったキャリア戦略を立てましょう。
②スキルアップ・学び直し
必要なスキルや知識がわかれば、足りない部分を学び直しで補いましょう。必要な資格を取る、勉強会やスクールに参加する、など取るべき対策がハッキリすれば、漠然とした不安は徐々に薄らいでいくでしょう。
50代会社員のキャリアの不安について
この記事をご覧になっている方はキャリアに対する何らかの不安を感じているのではないでしょうか。それも仕方のないことです。近年、50代会社員の不安を増加させるような事柄が多く起こっています。
定年延長によってゴールが後ろに
2021年4月に改正高年齢者雇用安定法が施行され、企業は70歳までの定年引き上げや継続雇用制度導入など、70歳までの就業機会確保義務(努力義務)が課されました。さらに、雇用延長の検討を行っていた政府の未来投資会議においては、70歳以上の就業率向上についても試算されており、政府内では75歳への定年引き上げも視野に入れられているといいます(※1)。
自身が社会に出た頃には、50代もしくは60歳で定年し、老後を謳歌しようと思っていた今の中高年世代からすれば、ゴール目前になってそのゴールが後ろに動かされたと感じているのではないでしょうか。
(※1) 焦点:政府が70歳定年へ効果試算、75歳も視野 にじむ年金改革の思惑 (2019年2月8日、ロイター)
役職定年により給与が下がる
『役職定年』という言葉をご存じでしょうか。企業が設けている制度で、一定の年齢に達した社員が部長や課長などの役職から退くことを指します。この制度により給与が下がることがあります。
50代の役職定年で変化すること、役職定年に向けて準備することなど、以下の記事で詳しくご紹介しています。是非参考にしてみてください。
役職定年(やくてい)とは? 55−57歳で3割以上の減収と職場の立場が大きく低下する!
コロナによって経済状況が激変
新型コロナウイルスの拡大は人々の生活様式を変え、経済にも大きな変化を与えました。飲食業や観光業など、大きな打撃を受けている業界が多くあります。飲食業や観光業のようにクローズアップされていない業界でも、全体的な経済の落ち込みにより経営環境が悪化しているところが多いです。
業績に対して責任を負っていたり、経営陣からプレッシャーを感じるポジションにいる50代の方は、会社の業績や自身の出世など多くの不安を感じやすい状況となっています。
今後何が起こるかは予測不可能。技術革新・多様化、私たちに求められるものも変化する
50代の私たちにとって、時代は急速に変化していると感じられることでしょう。10年前には存在しなかった技術が、今では日常に使われています。業務の効率化や自動化も日々進んでいて、これまで当たり前に行っていた仕事が急になくなることもあるでしょう。また、IT化・多様化により会社やお客様から求められるものも変わってきています。
不安を訴えるミドルが増加、不安障害になるケースも
50代以降の中高年層に強い不安を感じる方が増えてきています。なお、不安が強くなって障害として現れてしまうケースもあります。
ミドルマネジメントの55%が不安が増えたと回答
「コロナ禍におけるミドルマネジメントの不安」(株式会社レンズアソシエイツ、2022年4月19日発表)では、従業員数100人以上の企業における部長・課長などのミドルマネジメント層において、55.0%がコロナ禍において自社組織に関する不安が増えたと回答しています。
その理由としては、トップは54.5%で「メンバーとのコミュニケーションが減った」が挙げられていますが、次点は45.5%で「業績が不安定になった」が挙げられていて、翻って自身の処遇についても不安を感じていることが伺えます。なお、その次には41.8%で「業務負荷が増えた」が上がっています。
不安が強すぎる場合には障害となっていることも
不安は誰でも持っているものですし、一定程度の不安は良い緊張感ともなり、高パフォーマンスを発揮することにつながるとも言われています。しかしあまりに不安が強く感じられて生活に支障が出てくるとそれは社会不安障害として扱われます。
キャリアに限りませんが、コロナ禍でストレスが増し、不安障害になってしまうケースも多いようです。2021年10月、イギリスの医学誌であるランセットには新型コロナウイルスが蔓延した2020年には、全世界で約1億3000万人が大うつ病性障害(うつ病)や不安障害になったという論文が掲載されました。
キャリアに対する不安を和らげるために
あなたの不安が不安障害であると認められる場合にはもちろん専門的な医療を受ける必要がありますが、そこまでではない、なんとなく不安だなと感じている人には、自分自身で安心できるような実践をしてみましょう。2つのステップにわけて説明します。
ライフプランとキャリアプランを再検討する
定年延長やコロナ禍で、今後どう生きていくかというライフプランに変更が生じているのではないでしょうか。変化を予想しつつも、じっくり考える機会を持ってこなかったという人は、このタイミングで人生設計であるライフプランを見直してみましょう。
ライフプランを見直すと、それに伴ってキャリアプランも見えてくるのではないでしょうか。キャリアプランを再検討し納得するプランができれば、視界が開けてくるでしょう。
スキルアップ、学び直しをしてみる
キャリアプランを実現するために、スキルアップまで落とし込んでいきましょう。ここについては「50代からもキャリアアップする時代に。自身のスキルを検討し、キャリアアップの計画を立てる。」で解説していますのであわせてご覧ください。
ご自身のスキルを棚卸しし、どんなスキルを掛け合わせるかまで落とし込めれば、具体的にものとして見えてきます。取るべき方策が具体化されてくれば、漠然とした不安は徐々に薄らいでいくのではないでしょうか。
もしあなたが50代でキャリアや将来に不安を感じていて、その不安の対象がキャリアにある場合は、キャリアプランの見直しと具体的なスキルアップの計画によって解消することもあります。
定年後の不安も重なる50代
50代の方々は現在の漠然とした不安に加えて、定年後のことも考える機会が増えるため、さらなる不安を感じることが多いのではないでしょうか。
定年後にはさまざまな課題があることも確かですが、それを今のうちに明確化しておくことで不安要素に対する対策を立てることができます。以下に50代の方々が定年後に感じるであろう3つの主な不安要素を挙げていきます。詳しく見てみましょう。
定年後の3大不安:お金・健康・社会からの孤立
定年を迎えた後感じるであろう3大不安要素といえば、「お金」「健康」「社会からの孤立」ではないでしょうか。定年後の人生を充実させるために、これらの不安をしっかり理解して計画的に準備を進めることが大切です。
①お金の不安
定年後の生活費や老後資金についての心配はかなり大きなウェイトを占めるでしょう。老後資金は「2000万円問題」のように単純なものではなく、個々の状況に合わせて考える必要があります。また、長寿社会である日本では、健康状態によって医療費がかかることも考慮しなければなりません。現在加入している民間保険で賄えるかなども確認しておきましょう。
また50代になると親の介護のことも考えておく必要があります。外部のサポートを活用する事などを考えて適切な対策が取れるようにしておく事も必要です。
②健康の不安
健康に対する不安も大きい不安要素として挙げられます。病気や介護が必要になる可能性を考慮して、定期的に健康診断を受けたり生活習慣を見直す努力をしましょう。適切な食事・運動・ストレス管理などが健康維持に役立ちます。
③社会からの孤立
定年後、職場から離れることで社会的なつながりが減少することがあります。これにより孤独感を抱えることがあるでしょう。社会的な活動や趣味、ボランティアなどを通じて、社会とのつながりを保つことが大切です。
仕事を継続することで不安の解消につながる
「仕事を続けること」は、今挙げた3大不安要素(「お金」「健康」「社会からの孤立」)を解消する効果的な手段になります。詳しく見ていきましょう。
①「収入源の確保」でお金の不安解消
定年後も仕事を続けることで、定期的な収入源を確保できます。経済的な安定感は、生活の基盤を支える大切な要素となるでしょう。パートタイムの仕事やフリーランスの活動など柔軟な働き方を選ぶことで、心身に負担をかけることなく老後の生活費を安心して賄えます。
② 「運動や社交的な活動」で健康の不安解消
職場に行くことで日常的な運動や社交的な活動が増えます。デスクワークから離れて歩く機会が増えたり、同僚とのランチや会話を楽しんだりすることは、健康にプラスの影響を与えます。運動は健康を維持し、社交的な活動は心の健康をサポートしてくれるでしょう。
③「社会との接点を持つこと」で社会からの孤立への不安解消
仕事を通じて社会との接点が生まれます。同僚や取引先との交流、プロジェクトチームでの協力など、人に頼られたり、別の年代とのつながりを持つことができます。社会的なつながりは、孤立感を和らげ、心の健康にも良い影響を与えるでしょう。
やりがいや楽しみを見つけることで不安の解消につながる
将来に対しての不安を解消するためには、やりがいや楽しみを見つけることも大切です。以下の方法を試してみてください。
新しい仕事にチャレンジする
新しい仕事に挑戦することは、やりがいを感じる絶好の機会です。自分のスキルや興味に合った職場を探してみましょう。ただ、定年後に新しい仕事を探すのはハードルが高いと感じることもあるでしょう。「若い人の中で溶け込めるだろうか」「いきなり起業して成功する保証なんてない」と不安が出てくるかもしれません。
定年後は無理をせず、ストレスなく、ゆるりとした気持ちで始める「ゆる起業」がおすすめです。以下の記事で「ゆる起業」の実態や成功の秘訣、なぜ定年後のシニアに「ゆる起業」がおすすめなのか、など詳しくご説明していますので、興味のある方はぜひ参考にしてください。
【50代から始めるべき】定年後のセカンドキャリアの選択肢「ゆる起業」とは?
趣味を見つける
趣味を持つことで心の充実感を得られます。音楽、アート、スポーツ、料理など、自分に合った趣味を探してみてください。
さらに、「楽しみながら少額でもお金に繋がる趣味」を見つけられたら効率的ではないでしょうか。
以下の記事では定年後に挑戦してみたい「実益をかねた趣味」についてご紹介しています。趣味を実益に結び付ける方法や身につけるべき必須スキルなど参考になる情報がたくさんありますので、ぜひご覧ください。
定年後の趣味で実益を兼ねるには、50代がラストチャンス:好きで稼ぐメリットとデメリット
地域の活動に参加する
地域のイベントやボランティア活動に参加することで社会とのつながりを深められます。同じシニア世代の人はもちろん、さまざまな世代の人と交流し、新たな友人を作るチャンスにもなるでしょう。
50代会社員は老後を見据えた働き方を在職中からチャレンジできる
50代の会社員は「今のうちから老後を見据えた働き方にチャレンジできる」というメリットもあります。早めに対策を練ることで将来に対する漠然とした不安もやわらぐでしょう。以下に対策のポイントを4点ご紹介します。
①自身のやりたいことを棚卸しする
自分がやりたいことや強み、経験を整理しましょう。長年培ってきた経験を活かした得意分野を追求することで、定年後の働き方を充実させることができます。
②雇用形態の選択
定年後も継続雇用で働くか、フリーランスや個人事業主として働くかを検討しましょう。自身のスキルや希望の生活スタイルに合った選択をすることが大切です。
③人脈を活用する
これまで築いた人脈は、新たなチャレンジに大いに役立ちます。友人や同僚との交流を大切にしながら、新しい機会を探りましょう。
④失敗を恐れずに挑戦する
年齢を重ねるとどうしても「失敗したくない」という気持ちが強くなり、行動が消極的になりがちです。「失敗は成長するチャンス」と捉えて、前向きに挑戦していきましょう。
生徒様事例のご紹介
当スクールではこれまで50代のキャリア指導をしてきましたが、転職に成功した生徒様の事例をご紹介します。
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まとめ
今回はキャリアに対する漠然とした不安を感じている50代会社員の方向けに「キャリアに不安を感じている人が行うべき2つのステップ」についてご紹介しました。
不安を解消するには『ライフプラン・キャリアプランの再検討』と『スキルアップ・学び直し』が大切です。
ご自身の経験やスキルを棚卸しし、得意分野を見つけ出しましょう。定年後にやりたい事や希望の働き方に必要な知識は何か、どのスキルを掛け合わせれば再就職や起業に役立つかを考え、必要な知識・スキルを学び直します。
将来が見えない中、漠然とした不安を完全に拭い去ることはできませんが、自身のやりたい事や得意分野を知り、希望の将来像に対して今やるべきことが明確になれば、自ずと不安は解消されていくでしょう。
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