役職定年（やくてい）とは？ 55−57歳で3割以上の減収と職場の立場が大きく低下する！
更新日：2024.02.20
私の会社は役職定年があるのですが、具体的にどのように働き方が変わるのか気になります。何か準備をしたほうがよいでしょうか？
役職定年では給与が下がり、業務の内容、人間関係なども変化します。人によっては働く意味を見失ってしまい、辛い日々を過ごすケースも珍しくありません。役職定年の変化にストレスを感じそうであれば、早い段階で新たなスキルの習得に乗り出し、副業や転職、独立なども検討しましょう。
目次
結論：55−57歳で3割以上の減収と職場の立場が大きく低下することに備える必要がある
役職定年を迎えると、働き方が大きく変化するため、人によっては働き甲斐をなくしてしまいます。役職定年は50代半ばで適用されるケースが多いので、なるべく早くから働き方の変化に備えることが重要です。
役職定年後に不満を抱きながら働き続ければ、職場の人に迷惑をかけます。近年は、50代でも転職やフリーランスの働き方を検討しやすくなっているので、なるべく早いうちからセカンドキャリアを検討し、役職定年を節目とした働き方と向き合うことが重要です。
50代が知っておくべき役職定年（やくてい）とは？
役職定年（やくてい）とは、一定の年齢に達した社員を役職から退かせて、ほかの職務に異動させる制度です。組織における人材の新陳代謝を高める役割を果たします。また、人件費の増加を抑制できるメリットもあります。
役職定年制が普及した背景や、適用されやすい年齢についても確認してみましょう。
役職定年制度が普及した背景は？
役職定年制は日本の高度経済成長期に広まったとされています。
経済成長に対応できるよう、企業が若手に役職を与える必要がありました。しかし、同一人物に役職が固定されてしまうと、新たな若手を登用できません。
そこで、役職を流動化させるために一定年齢に達した社員を役職から退かせる役職定年制が注目されたのでしょう。
企業における一般的な役職定年の年齢は何歳？
人事院の「民間企業における役職定年制・役職任期制の実態」によると、役職定年の年齢は、部長クラスを55歳とする企業の割合（38.3%）が最も高く、57歳とする割合（24.8%）が次いで高かったという調査結果が報告されています。
一般的なイメージとしては、通常の定年よりも少し早く役職を退くことになるようです。
参照：”民間企業における役職定年制・役職任期制の実態”人事院.
50代の役職定年で変化すること
役職定年を迎えると役職を退くため、雇用環境が大きく変わります。特に変化が大きいとされるものを解説します。
給与
役職定年を迎えると給与が大幅に減る恐れがあります。
たとえば、役職定年をして給与が3割下がった方も見受けられます。同じ職務で給料だけ下がる事態に納得がいかないようです。
同年代の社員が平等に給料が下がるのであれば、しかたがないと思うかもしれません。
しかし、最近では役職定年を廃止する大手企業も現れ、給与の引き下げなしで定年まで働ける職場もあります。役職定年のある企業の社員は、役職定年のない社員がうらやましくなってしまうでしょう。
役職定年による給与格差が、新たなセカンドキャリアを検討する引き金となる可能性があります。
年金
一般的に50歳以上のねんきん定期便では見込額が記載されています。しかし、見込額は発行時点での給与（標準報酬月額）が60歳まで変化しないことを前提として算出されます。
つまり、役職定年で50代半ばで収入が減ってしまえば、その後のねんきん定期便の見込額も減るというわけです。
想定していた年金がもらえないとなれば、定年後の計画が崩れてしまいます。セカンドキャリアを検討するうえで重要な視点なので、役職定年で給与だけでなく年金まで減ることをよく理解しておきましょう。
業務
役職定年を迎えると役職を外れることから、これまでの業務が一変します。たとえば、部長職などを退いたあと、別の肩書のマネージャー業務に携わるケースなどがあります。
業務内容が変化することで新たな資格の取得が求められるケースも珍しくありません。
要求される業務に適応できなければ、納得して働き続けるのが難しくなってしまう恐れがあります。
上司と部下の関係
役職定年を迎えると、これまで慕ってくれた部下などから相手にされなくなる恐れがあります。
人に頼られることでやりがいを感じていた50代の方であれば、上司と部下の関係が解消されたことをきっかけに落ち込んでしまうでしょう。
最悪のケースでは、仕事までなくなってしまうケースもあり、周囲から必要とされずに毎日が辛いと感じることもあるようです。
辛い状況を我慢すると鬱になる恐れがないとも言い切れません。人間関係の変化が不安な方は、役職定年を機に新たなセカンドキャリアに踏み出せるよう、準備をしておいたほうがよいでしょう。
やる気
ここまで解説した通り、役職定年によって給与・年金・業務・上司と部下の関係などが変化することで、50代の方は働くことに対してやる気をなくしてしまいやすいのが一般的です。
50代にとっては役職定年のデメリットは大きく、役職定年をきっかけに「歳をとると一生懸命働かなくてよい」と思ってしまう方もいるかもしれません。
やる気がない状態で働くのは会社にも本人にも良くありません。役職定年の変化が受け入れられない方は、経験を存分に活かせる働き方を模索しておいたほうがよいでしょう。
50代の役職定年に向けた準備
役職定年で大きく変わる点をご紹介しました。引き続き、変化に備えて準備すべきことも解説します。
収入低下に備える
役職定年では、給与や年金が減ってしまうリスクが高いとお伝えしました。最優先の準備として、収入低下の対策を講じる必要があります。
たとえば、クラウドソーシングサイトに登録して副業を始めるという対策を検討可能です。クラウドソーシングサイトは、仕事を発注したいクライアントと、仕事を受注したいワーカーをマッチングするサービスをさします。
スキルの高い方であれば即日で仕事を受注できるケースも珍しくありません。とにかく収入低下に向けて何か対策したい方におすすめできます。
給与以外のやりがいを探す
働く目的が給与だけだと、役職定年後の働き方が辛いものになります。
給与以外のやりがいを探しましょう。たとえば、部長職や課長職に就いていた方であれば、これまで培ってきた部下の育成能力を活かして、新人のサポートに力を入れられます。
新人と積極的にコミュニケーションを交わしていけば、新たな人間関係を築き上げることも可能です。充実した日々を過ごせるようになるでしょう。
セカンドキャリアを考える
給与以外にやりがいを見出せない方もいるでしょう。その場合、自分が生き生きと働けるセカンドキャリアを考えることが大切です。
これまでの働き方を見つめて、ストレスを感じていることや、自分に向いていると感じたことなどを棚卸して、新たにやってみたい仕事を考えてみましょう。
ハローワークやIndeedなどで具体的な求人を探すと、興味のある働き方が見つかることがあります。セカンドキャリアを検討する材料として利用してみましょう。
新しいスキルを習得する
セカンドキャリアの方向性が定まったら、新しい仕事をするために必要なスキルを習得する必要があります。書籍やYouTube動画、スクールなどの利用を検討して、役職定年後（あるいは通常の定年後）にスムーズに動き出せるよう、なるべく早く学習をスタートしましょう。
セカンドキャリアが明確にならない場合は、ひとまずITスキルを習得しておくのがおすすめです。最近はあらゆる企業でDXが推進されているので、デジタル化に関するスキルはどのような働き方でも求められます。プログラミングスクールなどの無料カウンセリングを受けて、具体的に習得すべきスキルを教えてもらうとよいでしょう。
50代が役職定年後にみじめにならないための働き方
役職定年後はそのまま働き続けるか、働き方を変えるか決断を迫られます。いずれにせよ、みじめにならないような働き方を目指さなければなりません。ここでは、50代が役職定年後にみじめにならない働き方を解説します。
現職のまま定年後に向けて実績を積む
役職定年で役職から外れて責任が軽くなる方もいるでしょう。その場合は、新たなことにチャレンジしやすくなるので、現職のままセカンドキャリアに活かせる実績を積んでみてはどうでしょうか。
たとえば、Excelのマクロ・VBAを学習して、これまでExcelで手入力していた作業を自動化してみます。業務を効率化した経験は、DXを推進する企業から注目される可能性があり、定年後のキャリアに役立つ可能性が高いです。
将来に役立つ実績作りを意識すれば、役職定年を迎えてもモチベーションを維持しながら働けるため、みじめになることもないでしょう。
転職サイトを使って転職する
役職定年後のポジションで、キャリアに活かせる実績を積めないこともあるでしょう。どうしても働き方に意味を見出せなければ、転職を検討するのも一つの考え方です。
50代で仕事を探すのは難しいと思うかもしれませんが、最近では50代向けの転職サイトも利用できるようになりました。
スカウトサービスに対応している転職サイトもあり、登録するだけで理想の企業からオファーが届くため、スムーズに転職活動を進められます。良い会社と巡り合えれば、役職定年後のみじめな働き方から脱却できるに違いありません。
フリーランスとして独立することも考える
会社に役職定年の制度があれば、職場に残る限り給与の低下は避けられません。給与の低下に耐えられないのであれば、フリーランスとして独立する方法を検討する必要もあります。
フリーランスとして業務委託の案件をこなす場合、役職は関係ありません。納品物に対応する報酬が得られる仕組みなので、スキルが高く専門知識が豊富であれば、自らの力で給与を高められます。
近年は、クラウドソーシングサイトでスムーズに仕事を受注できる環境が整いました。50代後半からでもフリーランスを目指すことは不可能ではありません。チャレンジしてみる価値は高いでしょう。
まとめ
役職定年は、一定年齢に到達した社員を役職から退かせて、ほかの職務を与える制度です。通常の定年とは違い、おおよそ50代半ばから適用され、働き方を大きく変える機会となります。
給料や年金が下がるほか、部下と上司の関係がリセットされるため、働き甲斐を失うリスクが高いです。
早いうちから役職定年後のセカンドキャリアを検討し、必要があれば新しいスキルを習得し始めましょう。最近ではDXを推進する企業が多いので、習得するスキルに迷っている50代の方は、ITスキルの習得を検討してみてください。
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立教大学卒。プログラマーの職種を経験し、現在はフリーライターとして活動中。使用経験のあるプログラミング言語はC言語やJava、VBA、HTML、Delphiなど。基本情報技術者やファイナンシャルプランニング技能士二級などの資格を活かし、働き方やキャリア設計に役立つ記事を執筆している。
