早期退職の公務員がもらえる退職金、メリット・デメリットなどを解説!

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早期退職の公務員がもらえる退職金、メリット・デメリットなどを解説!

安定した働き方が魅力の公務員ですが、さまざまな理由で早期退職を検討している方もいるでしょう。早期退職によって生活が崩れるリスクもあります。さまざまな観点から早期退職について深く検討することが重要です。今回は公務員の早期退職の概要をはじめ、もらえる退職金やメリット・デメリット、注意点などを解説します。

公務員を早期退職しようか迷っています。もらえる退職金はかなり減ってしまうのでしょうか。

細かい条件によりますが、20年勤務した場合と30年勤務した場合であれば、1,000万円程度もらえる退職金に差が生じることがあります。具体的に計算をしたうえで早期退職のタイミングを決めることが大切です。

結論 :公務員のメリットを捨てて早期退職するには、セカンドキャリア設計とゴールから逆算した学び直しが必要

公務員も早期退職が行えますが、総務省の報告を見る限りでは、早期退職をする地方公務員はかなり少ない印象です。ただ、体力が衰える前に早期退職をすれば、本当にやりたい仕事に従事して、セカンドキャリアを充実させられる可能性があります。叶えたい働き方がある方は、なるべく早くからセカンドキャリアを設計し、必要なスキルを習得したうえで、早期退職を検討しましょう。

公務員の早期退職とは?

まずは、公務員の早期退職募集制度と制度利用の主な手続き、早期退職事情について解説します。

公務員の早期退職募集制度

公務員にも早期退職募集制度があり、制度に基づく応募認定退職が認められています。

たとえば、内閣官房のサイトでは平成25年11月1日から応募認定退職が可能になったことが告知されています。

参照:早期退職募集制度について(内閣官房)

各省庁の長が早期退職希望者を募り、職員が認定を受けて指定日に退職したケースでは、退職手当の金額が自己都合退職する場合よりも割増されます。

なお早期退職に関する制度に関しては、早期退職優遇制度や希望退職者募集制度など、微妙に異なる名前で制度が運用されることがあります。

早期退職に関する制度について理解を深めたい方は
記事「【50代会社員】セカンドキャリア支援制度は、セカンドキャリアプランを持っていないと後悔する! :早期退職・希望退職制度との違いも解説」 も参考にしてみてください。

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公務員の早期退職募集制度に関する手続き

内閣官房のサイトで公開されている早期退職募集制度の主な手続きは下記の通りです。

①募集実施要項を確認して応募する

②各大臣等が応募者に対して原則認定する

③各大臣等が応募者に対し認定通知書あるいは不認定通知書を交付する

④各大臣等が指定した日に退職する

⑤退職手当の支給を受ける

参照:令和3年度地方公務員の退職状況等調査(総務省)

公務員の早期退職事情

令和3年度における地方公務員の離職者は129,713人で、そのうち早期退職募集制度による退職者は3,566人で約2.7%だったと報告されています。公務員を自ら進んで早期退職をする方は少ない印象です。やはり安定した働き方を手放すのには並みならぬ勇気がいるのでしょう。

参照:令和3年度地方公務員の退職状況等調査(総務省)

公務員の退職金とは?

続いては、公務員の退職金について概要がわかるように、支給される金額の計算方法や支給されるタイミングなどについて解説します。

公務員に支給される退職金の計算方法

神奈川県市町村職員退職手当組合の退職手当事務の手引きによると、公務員の退職金の計算方法は下記の通りです。

退職手当額

=基礎となる給料月額×勤続期間と退職事由に応じた支給率+調整額

調整額は、職務の級に応じた金額をベースに、勤続期間中最大60か月(5年)分で計算されます。

なお、調整額は下記の通り勤続期間および退職事由に応じて制限されます。

退職事由調整額
自己都合勤続期間10年未満:0円
勤続期間10年以上25年未満:1/2相当額
自己都合以外勤続期間1年未満:0円
勤続期間1年以上5年未満:1/2相当額


参照:退職手当事務の手引(神奈川県市町村職員退職手当組合)

公務員に支給される退職金のシミュレーション

引き続き、神奈川県市町村職員退職手当組合の退職手当事務の手引きを参考に、公務員に支給される退職金額を勤続年数別に計算してみます。

【退職金シミュレーション:勤続年数10年の場合】

想定平均給与:25万円

勤続年数10年の支給率(自己都合):5.022

主な職務の級:3~4級(第7号区分)

第7号区分の調整額:651,000円(21,700円×60か月÷2)


退職手当額

=25万円×5.022+65万1,000円

=190万6,500円

【退職金シミュレーション:勤続年数20年の場合】

想定平均給与:35万円

勤続年数20年の支給率(自己都合):19.6695

主な職務の級:5~6級(第5号区分)

第5号区分の調整額:975,000円(32,500円×60か月÷2)

退職手当額

=35万円×19.6695+97万5,000円

=785万9,325円

【退職金シミュレーション:勤続年数30年の場合】

想定平均給与:45万円

勤続年数30年の支給率(自己都合):34.7355

主な職務の級:5~7級(第4号区分)

第4号区分の調整額:2601,000円(43,350円×60か月)

退職手当額

=45万円×34.7355+260万1,000円

=1,823万1,975円

通常の会社員が50代で早期退職したときの退職金については下記の記事で解説しています。公務員に限らず早期退職したときの退職金を知りたい場合はご確認ください。

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退職金が支給されるタイミング

公務員の退職手当は、特別な事情がなければ、職員の退職日から起算して1か月以内に支払われます。

短期間で退職金を受け取れるので、早期退職してから生活に困窮することはないでしょう。

退職金が支給されないケース

退職金を支給される職員は、原則として常時勤務に従事している職員をさします。

パートタイムの会計年度任用職員や任期付職員のうち、短時間勤務職員として働くケースだと退職金は支給されません。

公務員が早期退職するメリット・デメリット

公務員が早期退職するメリット・デメリットを解説します。

公務員が早期退職するメリット

すでにお伝えした通り公務員にも早期退職制度があり、応募して認定されて退職すれば退職金が割増になるというメリットがありました。

ほかに重要なメリットとして、早い段階でセカンドキャリアに踏み出せるというメリットもあります。

公務員の仕事を通して自分の強みや興味のある分野が明確になった方もたくさんいるはずです。そのような方であれば、早期退職をすることで体力が衰える前に本当にやりたい仕事にチャレンジできます。充実したセカンドキャリアを築ける可能性も高くなるでしょう。

早期退職制度を選ぶべきかどうか判断するポイントや、セカンドキャリアを設計するときの指針について下記の記事で解説しています。気になった方はぜひチェックしてみてください。

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公務員が早期退職するデメリット

公務員は基本的に会社員と違って利益を追求する職種ではありません。

たとえば、役所では転出・転入などの手続きが行われます。転出・転入手続きをしたところで役所に利益が生じるわけではありません。

このような観点から、公務員は働き方によって利益に関する実績を積めないケースも珍しくないでしょう。特別な実績がある方を除いて、早期退職したあとに民間企業への再就職を目指す場合、不利になる恐れがあります。

公務員が早期退職のメリットを大きくする方法

公務員が早期退職のメリットを大きくするには、セカンドキャリアの計画を綿密に立てることが重要です。

計画が曖昧なまま早期退職してしまうと、働き始める時期が遅くなり、無駄な時間を費やすことになります。

ハローワークや転職サイトの求人を確認したり、転職エージェントでキャリア相談を受けたりするなどして、早期退職後のセカンドキャリアを明確にしておきましょう。

公務員の早期退職に関する注意点

すでにお伝えした通り、公務員の退職手当額には調整額が含まれますが、調整額は勤続期間が短いと大幅に低くなる点に注意が必要です。

たとえば、自己都合退職の場合に勤続期間が10年以上25年未満であれば、調整額が1/2相当額になります。30歳で公務員になった方であれば50代前半に退職してしまうと、勤続期間が25年未満となり、調整額が半分になります。結果として退職金が減ってしまうでしょう。

また、公務員の退職金にかかる税金を減らす退職所得控除額も、勤続年数によって変わります。退職所得控除額の計算式は下記の通りです。

勤続年数が20年以下勤続年数×40万円
勤続年数が20年を超える(勤続年数-20)×70万円+800万円

控除の額が減ると税金が高くなります。早期退職する場合も控除額をあらかじめ計算しておいたほうが無難でしょう。

公務員が早期退職で後悔しないため対策5つ

公務員が早期退職で後悔しないための対策を解説します。

退職後の生活費を明らかにする

早期退職して退職金を受け取っても、毎月の家計が赤字になっては穏やかに生活できません。食費や水道光熱費、通信費など、退職後の生活費を細かく把握しておきましょう。おおよそでも貯金の減り具合がわかれば、仕事を始めるまでのタイムリミットもわかります。落ち着いて自分に合った働き方を探せるでしょう。

可能な限り貯金を増やしておく

再就職が失敗するなどしてセカンドキャリアを開始できないケースもあるでしょう。収入が途絶える期間が長くなれば、貯金がどんどん減って生活に困ってしまいます。最悪のケースに備えて可能な限り貯金を増やしておくことも大切です。不要なサブスクの契約を解除したり、趣味・嗜好品の支出を減らしたりするなど、無駄遣いを抑えましょう。

必要な老後資金を確認する

早期退職をして退職金が支給されても、収入が安定しなければ老後の資金が減る恐れがあります。老後に必要な資金を明確にして、目標金額を達成するのに適したセカンドキャリアを検討しましょう。たくさんの老後資金が必要になる方は、なるべく早いうちから需要の高いスキルを習得して、高報酬の仕事に就けるように準備することが重要です。

なお、若い方であれば老後資金の確保のためにiDeCoの加入も検討できます。2017年1月に公務員もiDeCoに加入できるようになりました。下記の記事では早期退職するときのiDeCo扱いについて解説しているので、iDeCoの加入を検討している方は参考にしてみてください。

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家族から理解を得る

公務員を早期退職するとこれまでの安定した生活が崩れるリスクがあります。結婚している方であれば自分だけでなく家族に影響が及びます。早期退職をするには家族から理解を得ることが大前提です。反対されないためには根拠が必要になります。ここまでお伝えした生活費、貯金、老後資金などについて明らかにしたうえで、早期退職しても困らないことを伝えましょう。

退職日までに次の仕事を確保する

安心して早期退職をするためには、退職日までに次の仕事を確保しておくことが理想的です。職場に在籍している間に内定を獲得できれば家族も安心させられます。反対に内定の獲得に手こずるようであれば市場価値を高める必要があります。新たな資格の取得や、スクールの受講なども検討しましょう。

公務員の早期退職に関するよくあるQ&A

公務員の早期退職に関するよくある疑問についてQ&A形式でご回答します。

Q.公務員の早期退職の目安はいつがベスト?

A.勤続20年と勤続30年ではもらえる退職金が1,000万円ほど差が生じることもあります。早く辞めてしまうと退職金の額が極端に少なくなる恐れがあります。その点をふまえると、退職金の金額をシミュレーションして、納得いく金額がもらえるタイミングが、早期退職の時期として適しているでしょう。

Q.地方公務員が早期退職する場合はいつごろに届出をする?

A.公務員の職場では人事異動のタイミングである4月に向けて、12月くらいから異動の準備が始まることがあります。届出が遅れると職場の管理職が混乱しかねません。迷惑がかからないよう、人事異動の準備が始まる前には届出を提出するのが望ましいでしょう。

Q.公務員の定年延長で退職金は減る?

A.定年延長後の給料が減額されることで退職金も減るように思えるかもしれません。しかし、退職金は定年60歳の年度までの期間分と61歳の年度以降の期間分に分けて計算されます。結果として退職金の減少によって不利益を被らないようになっています。

まとめ

公務員を早期退職する場合、勤続年数が不足すると退職金が大幅に減る恐れがあります。

もらえる退職金を計算したうえで、慎重に早期退職を検討することが重要です。早期退職によって本当にやりたいことを早く実現できる可能性が高まります。


ただ、退職後に仕事が決まらないと生活に困窮してしまうので、セカンドキャリアへの道筋を明確にしておきましょう。

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