定年後に役立つITスキルを独学で取得!【資格・プログラミング】
更新日:2024.08.19定年後に役立てるために新しく学ぶなら、ITスキルがおすすめです。一口でITスキルと言っても、IT系の資格やプログラミングなど、さまざまなスキルがあります。
本格的に何を学ぶか決めかねているときは、まずは独学で基礎的な知識を学んでみましょう。
この記事では、定年後に役立つITスキルやその学び方についてお伝えします。定年後に生かすなら、知識と実践的なスキルの両方を身に付けるのがおすすめです。
ITスキルを定年後に役立てるポイントを押さえて、独学から勉強を始めてみましょう。
目次
結論:IT資格の合格を目指すことで、モチベーションを維持しながら体系的に学習を進めることができる
定年後に役立つスキルを探している50代には、ITスキルがおすすめです。ITスキルにはさまざまなものがあるため、まずは気になる分野の書籍や動画などに触れてみることから始めてみましょう。独学で勉強する場合は、資格取得を目指して学習する方法が効率的です。資格取得を目指すことで、合格という明確な目標に向かってモチベーションを維持しながら体系的に学習を進めることができます。また、資格取得に加えて実践的な経験を積むことも重要です。書籍や動画で学んだ後は、実際に手を動かしてサンプルのプログラムを作ったり、職場業務の効率化に活かしたりしてみましょう。他にも、クラウドワークスの副業案件に応募する、講師アシスタントとして教えてみるといった方法もあります。
定年後に役立つITスキル
まずは、初めてITスキルの勉強をする方におすすめの資格とプログラミング言語を紹介します。段階を踏んで学びながら、専門的に学びたいことを絞っていきましょう。
資格
2020年から小学校でプログラミングが必修になり、これまでは専門知識だったプログラミングはより身近なものとなりました。
IT知識に関わる資格を取得すれば、知識を深められるのと同時にスキルの証明ができます。ITスキルの勉強が初めてなら、基礎知識から学ぶのがおすすめです。
ITパスポート
「ITパスポート」は、IT関連の基礎知識が証明できる国家資格です。さまざまな業種・職種で必要となるITと経営全般に対する知識が問われるため、ITスキルの入り口にぴったりの資格だといえるでしょう。基礎から学ぶことで、知識のない状態でもスムーズに勉強を進められます。
PCを使って入力するCBT方式を導入しており、試験は随時実施です。年に数回しか受験日のない試験と違い、自分のタイミングで受けられます。
合格率は50%前後です。ITパスポートでは経営戦略やマーケティングといったビジネス分野の知識も問われるため、社会人の合格率は60%前後と高めになっています。
基本情報技術者試験
ITパスポートは、すべての社会人を対象とした基礎的な知識の試験でした。「基本情報技術者試験」は、ITエンジニアの基礎資格です。対象が絞られている分、ITパスポートよりも難易度は高く、合格率は20〜30%ほどです。
アルゴリズムとプログラミング、ソフトウェア、データベースなど、幅広く出題されるため、しっかりと計画を立てて勉強を進める必要があります。基本情報技術者試験の勉強時間の目安は200時間ほどといわれており、勉強がスムーズに進んでも2ヶ月はかかるでしょう。
ITコーディネーター
ITコーディネーターは、「経営×IT」の視点で経営に役立つITサービスの利活用促進や支援を行う専門家のことです。データ・デジタルの力でビジネスを変革するDX化が重要な近年では、ITコーディネーターの役割は重要性を増しています。ITコーディネーターではITだけでなく経営に関する知識も求められ、合格率は50%程度となっています。それなりにレベルは高くなりますが、DX人材を目指す方にはおすすめの資格です。ITコーディネーターについては、以下の参考記事でも解説していますので、あわせてご参照ください。
参考記事:【50代リスキリング】DX人材になるためにはIT+ビジネススキルが必要。Python分析資格とITコーディネーターがおすすめ
MOS
MOS(Microsoft Office Specialist)は、マイクロソフトのExcel(エクセル)・Word(ワード)などのソフトを活用し、実務に活かせるスキルを持つことを証明できる資格です。客観的にパソコンスキルを証明するきっかけになるため、ITスキルを学び始めたばかりの方に人気の資格となっています。Excel(エクセル)やWord(ワード)を使用する職場は多く、専門知識を持つ人材が重宝されるケースも珍しくありません。業務効率化や生産性向上などに影響を与える可能性があることから、IT系の仕事を始める際に取得する人もいます。MOSについては、以下の参考記事もご確認ください。参考記事:MOS資格が定年後に役に立たないと言われる理由|直接役に立つのはパソコン講師と秘書くらい
資格取得を目指すメリット
資格取得を目指すことで、基礎的なところから網羅的に学ぶことができます。また、順序立てて学習を進めることができる点もメリットです。なかなか学習のモチベーションが続かないという方でも、資格取得を目指すことで合格という具体的な目標ができるため、モチベーションを維持しやすくなるでしょう。資格を取得したからといって、直接的に昇給や転職に結びつくわけではないことも事実です。しかし、資格を取得することで客観的にスキルを証明できるようになるため、転職時などにアピール材料として役立つでしょう。
プログラミング
プログラミングとは、コンピューターを思うように動かすための指示を出すことです。プログラム言語によってできることは異なるため、まずはどの言語を学ぶかを決めましょう。
代表的なプログラミング言語をいくつか紹介しますので、プログラミング言語選びの参考にしてください。
PHP
PHPはWeb開発に適したプログラミング言語です。WordPressでのサイト構築に使われるため、自分のサイトやブログを設計できるようになるでしょう。Webサイトを構造化するHTMLや装飾するCSSを一緒に学べば、サイト制作や更新といった仕事も視野に入ります。
Excel(エクセル) VBA
VBAはVisual Basic for Applicationsの略で、Microsoft Officeで使用するプログラミング言語です。Excel(エクセル)だけでなく、Word(ワード)やPowerPoint(パワーポイント)、Access(アクセス)でも使用可能です。Excel(エクセル)を使用して集計作業などを行う企業が多いため、Excel(エクセル) VBAはとくに使う機会が多いでしょう。
Excel(エクセル)には、処理を記録して自動化するマクロという機能があります。このマクロを記述しているのがVBAです。VBAでマクロを書き換えることもできるため、Excel(エクセル)の作業を自動化し、大幅に業務効率をアップさせることができます。
Excel(エクセル) VBAを活用することで、データ集計や分析、可視化などの作業の自動化・効率化を実現できます。プログラミングを行うための環境構築が不要であり、学習に役立つ情報が多く出回っているため、初心者が学習しやすいこともメリットです。学習の際は、まずは書籍や動画で文法などの基礎を学びつつ、実際に手を動かしながらサンプルのプログラムを作っていく流れがおすすめです。 Excel(エクセル) VBAのメリットや学習方法については、以下の参考記事もご確認ください。参考記事:Excel(エクセル)プログラミング学習法:VBA・マクロ・Pythonによる業務効率化の違いを解説
Python
Pythonは、アプリやWebシステムなどで幅広く利用されるプログラミング言語です。InstagramやYouTubeにも使われています。
AIの開発にも使われるため、人工知能・機械学習といった分野に興味があるなら積極的に学びたいプログラミング言語です。データ処理や分析なども得意としており、マーケティングの分野でも役立つでしょう。
Pythonを学ぶことで、データ分析やAI開発といった最先端の分野に携わることができます。Pythonを学習する際は、Excel(エクセル) VBAと同じようにまずは書籍や動画で基礎を習得しつつ、実際に簡単なアプリなどを作りながら実践的に学んでいくことが効率的です。以下の参考記事では、50代でも気軽にPythonを学べる便利なサービスであるProgateを活用したPythonの学習方法について解説していますので、あわせてご参照ください。参考記事:【50代会社員向け】Progateで学べるPythonは文法と簡単な使い方:次は業務効率化を目指すべき
PHP
PHPはWeb開発に適したプログラミング言語です。WordPressでのサイト構築に使われるため、自分のサイトやブログを設計できるようになるでしょう。Webサイトを構造化するHTMLや装飾するCSSを一緒に学べば、サイト制作や更新といった仕事も視野に入ります。
JavaScript
JavaScriptも、Webサイトでよく使われています。ブラウザやサーバーで実行されるプログラミング言語で、ユーザーの操作に合わせてページ内容を書き換えたりポップアップを表示させたりできます。
HTMLやCSS、PHPと一緒に学べば、Webサイトでの表現の幅が広がります。
独学でITスキルを学ぶ方法
続いて、独学でITスキルを学ぶ方法をお伝えします。IT関連の知識がない状態なら、基礎知識から段階を踏んで学びましょう。
基礎知識を学びながら資格取得を目指す
学習の基本は基礎知識からです。まずは、IT関連の基礎知識が学べるITパスポート取得を目指してみてはいかがでしょうか。
IT関連の勉強が初めての場合、範囲が広すぎて何から始めたらよいのかわかりません。資格取得を目標にすると、勉強に取り掛かりやすいでしょう。
幅広く学びつつ専門にしたいことを絞る
IT関連の勉強を始めると、さまざまなプログラミング言語があり、IT分野の仕事もたくさんあることがわかります。勉強を進めながら「Webサイトを作りたい」「スマホアプリを作りたい」など、これからの目標を定めましょう。
より知識を深めたい分野を見つけるために、ITパスポートに続いて基本情報技術者試験を目指すのもおすすめです。幅広く学びながら、より興味を持てる分野や深く学びたいことを見極めましょう。
プログラミング言語の基礎を学ぶ
ITスキルを定年後に生かすには、知識だけでなく実践も必要です。学びたいプログラミング言語が見つかったら、知識を深めるのと並行してプログラミングの勉強も進めましょう。
プログラミングを無料で学べるサイトを利用して、プログラミングの基礎を学ぶのがおすすめです。実際にプログラミング言語に触れてみて、自分に合っているかを判断しましょう。
実際にソースコードを書いてみる
プログラミング言語の勉強は、手を動かして実際にコードを書いてみることが重要です。文法をどれだけ学んでも、自力で新しくプログラムを作れなければ仕事に生かすのは難しいでしょう。
どのようなプログラムを作りたいかを考え、どうやったらそれを実現できるかを考えます。テキストや学習サイトを参考にしたり、ヒントになるようなサイトやサンプルコードを検索したりして、少しずつ形にしてみましょう。
知識を身に付けるだけでなく、実践する段階を踏むことで、ITスキルを自分のものにできます。
ITスキルを定年後に役立てるためのポイント
ただ学ぶだけではなく、ITスキルを仕事として活用するために押さえておきたいポイントがあります。ポイントを意識しながら、効率よく独学でITスキルを身に付けましょう。
できるようになりたいことを明確にする
まず、実際に勉強を始める前に、「ここを目指す」というゴールを設定します。ゴールがわからない状態では、方向性が定まらず、迷って時間をロスしてしまうでしょう。ゴールがあるからこそ、最短距離で進むことができるのです。
プログラミングを今の仕事にどう生かしたいか、どのような仕事をしたいか、自分のなかで明確にしておきましょう。
わからないことをそのままにしない
独学のデメリットは、わからないことを解決する手段がないことです。不明点をすぐに解決したいなら、プログラミングスクールの併用も選択肢に含めてみてください。
プログラミングスクールなら、より実践的に学べ、わからないことはその場で質問できます。疑問をすぐに解決できるかどうかは、学習スピードに大きく影響します。
わからないことをそのままにしないように、プログラミングについて相談できる相手を見つけておきたいですね。
毎日少しでも勉強と実践を続ける
自分がやる気を出さないと学習が続かないのも、独学のデメリットだといえるでしょう。
定年後を視野に入れてじっくり独学で学ぶ場合は、毎日少しずつでもよいので継続することが大切です。毎日続けることが、仕事に生かせるという自信につながります。
テキストで知識を身に付けるだけでなく、実際に手を動かして実践することも大切です。勉強と実践を毎日繰り返しましょう。
挫折しやすいポイントを理解して乗り越える
50代のIT初心者にとっては、わからないことばかりの状態で学習を始めることになります。学習を進めていく途中で、何度も挫折しそうになる場面も出てくるでしょう。途中で挫折しないためには、あらかじめ挫折しやすいポイントを理解し、乗り越えるための準備や工夫をしていくことが大切です。以下の参考記事では、50代がプログラミングの独学で挫折してしまう理由や挫折を防ぐうえで大事なポイントについて解説していますので、あわせてご参照ください。参考記事:50代がプログラミング独学に挫折する2つの理由:継続する仕組みと学習設計がない!
並行して実践的なスキルと知識を身に付けよう
定年後にITスキルを生かすなら、勉強して知識を身に付けるだけではまだ不十分です。資格を取得すれば知識の裏付けができます。しかし、実際に自分でプログラムが作れるという証明にはなりません。
資格取得を目指して勉強しながら、並行して実践的なスキルを身に付けましょう。定年後の仕事に生かすなら、資格取得よりもプログラムを作るスキルのほうが重要です。まずは、自分の手で何かを作り上げてみましょう。
実践的なスキルを身に付ける方法としては、主に以下が挙げられます。
作りたいものを作る
実践的なスキルを身に付けるための効率的な方法は、作りたいものを実際に作ってみることです。実際に自分が興味のあるものを作ってみることで、高いモチベーションを維持しながら、集中して学ぶことができます。作りたいものが特にないという方は、まずは書籍などにあるサンプルのプログラミングを作ってみて、その後に自分なりにアレンジを加えてみる方法がおすすめです。
職場で活かす
実践的なスキルを身に付けるためには、学んだことを職場で活かしてみることも有効です。たとえば、Excel(エクセル) VBAを学んだ後に、実際の業務のデータを使ってデータの集計や分析、可視化にトライしてみるとよいでしょう。これまで手作業で時間がかかっていた作業をExcel(エクセル) VBAで効率化できれば、大きな達成感を得られるはずです。
コンペ・コンテストに応募する
クラウドソーシングサイトなどに掲載されているコンペ案件に応募する方法もあります。職場で活かす場面が少ない方などは、社外のコンペ・コンテストに応募してみるのも有効な手段です。さまざまな難易度のコンペ・コンテストが募集されているため、まずは初心者向けの案件に応募してみるとよいでしょう。
学んだことを教えてみる
実践的なスキルを高めるうえでは、自分が講師となって他人に教えてみることもおすすめです。例えば、プログラミング教室の講師アシスタントとしてアルバイトをするなどの方法があります。教えるという立場は、自分も勉強する必要が出てきます。理解と習得を早めることにつながります。学習上の課題や挫折しやすいポイントなどが自分自身の経験でわかっているため、同じ50代の初心者などに対してわかりやすく教えることができるでしょう。
副業案件にチャレンジする
クラウドワークスなどのサイト上で募集されている副業案件にチャレンジすることも有効な手段です。クラウドワークスでは、Excel(エクセル) VBAやPythonなどを使った簡単なデータ分析などの案件が多く掲載されています。お金をもらいながら実践経験を積めるのは大きなメリットであるといえます。定期的に案件の状況を確認し、できそうな案件があれば積極的に応募してみましょう。
50代がプログラミングの実践的なスキルを培っていく方法については、以下の参考記事でも解説していますので、あわせてご参照ください。
参考記事:【50代会社員】「プログラミングの副業はやめとけ」はプロレベルの話。経験を活かしたアマレベルなら可能
まとめ
50代が定年後も活躍していくうえでは、ITスキルの習得が重要です。ITパスポートやITコーディネーターなどの資格取得を目指すことで、基礎から体系的に学習を進めることができたり、合格という明確な目標に向かってモチベーションを維持したりできるメリットがあります。
一方で、定年後に活躍していくためには資格取得だけでは不十分であり、実践的なスキルも必要です。書籍や動画で基礎を学んだ後は、実際に手を動かしてプログラムを作ったり、職場業務の効率化に活かしたりすることが大事なポイントです。
また、クラウドワークスなどにある副業・コンペ・コンテスト案件に応募することや、講師アシスタントとして同じ50代の方などに教えてみることも有効な手段となるでしょう。
大手SIerおよび大手メーカーの情報システム部門で実務経験を積み、現在はITライターとして独立。DX・IT・Webマーケティング分野を中心に多数の記事やコラムを執筆。保有資格:ITストラテジスト、プロジェクトマネージャー、応用情報技術者など。