【50代リスキリング】DX人材になるためにはIT+ビジネススキルが必要。Python分析資格とITコーディネーターがおすすめ
更新日:2023.08.04
少子高齢化や働き方改革などを背景に、いまではあらゆる社会・組織でDXが求められています。それに伴い、DX推進を担うDX人材の希少性が高まっていますが、DX人材とはどのような人材を指すのでしょうか。本記事では、DX人材の概要やDX人材になるうえで役立つ資格などを解説します。

50代会社員です。DX推進に伴ってDX人材が求められていますが、DX人材とはどのような人材を指すのでしょうか。また、DX人材を目指すうえでオススメの資格などあれば教えてください。
DX人材とは、簡単に言うと「ITを使って社会やビジネスを変革できる人材」を指します。DXの最終段階は組織横断的なイノベーション・ビジネスモデルの変革であり、それに向けてアナログデータのデジタルデータ化や個別業務の効率化・自動化などを段階的に実施していきます。DXに役立つ資格としては、Python3 エンジニア認定データ分析試験やITコーディネーターなどさまざまなものが挙げられます。資格取得の際は、実績や実務経験も合わせて積んでいくことが重要です。

目次
結論:DX人材になるためにはIT+ビジネススキルが必要。Python分析資格とITコーディネーターがおすすめ
DXは、デジタイゼーション・デジタライゼーション・デジタルトランスフォーメーションの3段階に分けられ、それぞれの段階に応じて適切なDX関連資格があります。たとえば以下などです。
・デジタイゼーション:ITパスポート、MOSなど
・デジタライゼーション:VBAエキスパート、Python3 エンジニア認定データ分析試験など
・デジタルトランスフォーメーション:ITコーディネーターなど
資格を取得することで、客観的なスキルの証明になります。また、資格は学習開始のきっかけや学習継続のモチベーションになる点もメリットです。
ただし、資格だけでは実績や実務経験にはならない点には注意が必要です。資格に加えて実績や実務経験を積むことが重要であり、そのためには今の職場で実績を積んだり、コンテストやクラウドワークスを通じて実績を積んだりすることが大事なポイントとなります。
なぜDXが求められているのか?
まず、DXの基本概要についておさらいしましょう。以前の記事「【50代DX人材】DX推進において50代に求められるITリテラシーとは?」で述べたように、DXの定義は以下のとおりです。
以下引用
DXの定義
”「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」”
引用終
つまり、DXをかみ砕いて説明すると「ITを使って社会やビジネスを変革すること」になりますね。
では、なぜITを使って社会やビジネスを変革する必要があるのでしょうか。それは、社会やビジネスを現状の仕組みのまま放置すると、少子高齢化に伴って労働力が著しく不足し、日本の競争力が大きく損なわれる問題があるためです。
そのためDX化が急務となりますが、ここで大きな課題となるのがDX人材不足です。経済産業省(*1)は、DXを担うIT人材が2025年には約43万人不足すると警鐘を鳴らしています。
*1 参照元:経済産業省「DXレポート」
DXの3段階とDX人材に必要なスキルと資格
ここでは、DXの3段階(デジタイゼーション・デジタライゼーション・デジタルトランスフォーメーション)のそれぞれにおいて、DX人材に必要なスキルと資格について解説します。
デジタイゼーション Degitization :点のデジタル化
DXの最初の段階はデジタイゼーションです。これはアナログデータのデジタルデータ化など、点のデジタル化にあたります。必要なスキルは、ITリテラシーやアプリケーションの使用スキルなどです。
ここでオススメとなる資格は以下の2つです。
ITパスポート
ITパスポート(*2)は、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が実施する「情報処理の促進に関する法律」に基づく国家試験です。ITパスポートを取得することで、業界や業種に関わらずITを活用するすべての社会人が備えておくべき基礎的なIT知識を証明できます。
具体的には、以下に関する項目が出題されます。
・最新のIT技術や手法(AI、ビッグデータ、IoT、アジャイルなど)
・経営全般(経営戦略、マーケティング、財務、法務など)
・セキュリティやネットワーク、プロジェクトマネジメントなど
ITパスポートは、CBT方式と呼ばれるコンピュータ形式の試験方式を採用しています。全国の試験会場で随時実施しているため、受験しやすいことも特徴です。
*2 参照元:IPA「ITパスポート試験」
MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)
MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)(*3)は、WordやExcelなどのオフィス製品の利用スキルを証明できる資格です。本試験は、株式会社 オデッセイ コミュニケーションズが運営しています。
試験は一般レベルと上級レベル(エキスパート)に分かれており、一般レベルを取得するだけでも基本的なWordやExcelスキルの証明になります。
「DX云々の前に、パソコンが苦手・・・」という50代の方は、本試験の取得を目指すことでパソコンの操作スキルを高められるためおすすめです。
試験形式は全国一斉試験と随時試験の2種類あり、随時試験であれば全国1,700会場で基本的に毎日実施しているため便利です。
*3 参照元:株式会社 オデッセイ コミュニケーションズ「マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)」
デジタライゼーション Degitalization :線のデジタル化
DXの次の段階はデジタライゼーションです。これは個別業務のITによる効率化・自動化
など、線のデジタル化にあたり、いわゆる「業務効率化」と言えます。
図1に業務効率化の全体像を示しますが、以下の流れを極力自動化・効率化するためのデジタル化と考えてください。
1)ビジネスからのデータ生成 (業務アプリ・ウェブサイト)
2)そのデータをデータベースに蓄積する (AWSなど)
3)データの集計 (エクセルVBA・Python・RPA)
4)データの可視化と分析 (エクセルVBA・Python・BIツール)
5)データの分類と予測 (機械学習と人工知能)
主に必要となるスキルは以下になります。
・データの集計・分析・予測を行い、可視化したデータを基に予測結果を経営陣に説明する能力
・Excel(エクセルVBA)/Python/機械学習/RPA/BIツールなど
図1. 業務効率化の全体像 :TechGardenSchool作成
また、ここでオススメとなる資格には以下が挙げられます。
VBAエキスパート
VBAエキスパート(*4)は、株式会社 オデッセイ コミュニケーションズが運営する、ExcelやAccessのマクロ・VBA(Visual Basic for Applications)スキルを証明するための資格です。
VBAエキスパートを取得することで、マクロ・VBAスキルを客観的に証明できるだけでなく、Excelでのグラフの自動作成など日常業務の効率化を図れるでしょう。
試験は全国の会場で実施されており、会場によってはほぼ毎日試験を開催しているところもあります
*4 参照元:株式会社 オデッセイ コミュニケーションズ「VBAエキスパート」
Python3 エンジニア認定データ分析試験
Python3 エンジニア認定データ分析試験(*5)は、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が運営する、Pythonによるデータ分析スキルを測る試験です。
2020年より開始された比較的新しい試験であり、データ分析試験では、Pythonのライブラリによる分析実践など、Pythonを使ったデータ分析について出題されます。
AI・ビッグデータ解析などに活かせるPythonの需要は今後ますます伸びていくことが予想されるため、本試験の合格に向けて勉強することも有意義な取り組みになるでしょう。
*5 参照元:一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会「Python試験」
Microsoft 認定: Power Automate RPA Developer Associate
本資格は、Microsoft社が公式で認定するPower Automateの資格です。受験のためには、Excel VBAなどを使ったデータ分析経験が求められるため、ある程度Excel VBAなどで業務効率化の経験を積んでおくと効果的です。
受験料は165ドルで、公式サイトより試験のスケジュール設定を自分自身で行います。
詳しくは、以下の公式サイトをご確認ください。
https://learn.microsoft.com/ja-jp/certifications/power-automate-rpa-developer-associate/
UiPath RPAアソシエイト資格試験(UiRPA) & UiPath RPAデベロッパー上級資格試験(UiARD)
この試験はUiPathというRPAを使用した資格試験になります。RPAのキャリアを向上させるために考えられた認定プログラムです。仕事の効率化と成果を高める技術が習得できるRPA認定資格です。
上級資格試験は、より高度なRPA技術を開発する能力があるか評価します。RPA技術開発に6か月以上従事している実務者や、 技術的にも高度なRPAを考える方に適しています。*6
*6 UiPath
RPA技術者検定 アソシエイト & RPA技術者検定 エキスパート
この試験はWinActorというRPAを使用した資格になります。アソシエイト検定ではWinActorの基本的な活用方法を学び、WinActorを活用するための基礎知識があるかについて問われます。
エキスパート検定ではWinActorの基本機能を利用したシナリオの作成と修正が出題され、実務におけるWinActorを想定した自動化の技術レベルについて問われます。*7
*7 NTT Data
BIツール Tableau認定資格
BIはビジネスインテリジェンスの略でビジネスの意思決定に関わる情報のことです。BIは、様々なデータから、ITを活用してデータを収集分析して、その結果をレポートの形でグラフや図表に表現します。BIは、経営者や管理職、現場の従業員に、業務改善につながる価値を提供します。
TableauはBIツールのひとつで、ビジュアルでデータ分析が簡単にできるツールです。ですのでエンジニアだけではなく営業やマーケターも使用することができます。難しいスキルを必要とせずに分析することができるBIツールです。Tableau データアナリスト認定資格は、ビジネスにおける問題の把握、分析によってビジネス上の意思決定を行う能力が試されます。*8
*8 Tableau
Power BI データ アナリスト アソシエイト
Power BIを扱うスキルを持っていることを認定する資格が、Microsoft公式の「Power BI データ アナリスト アソシエイト」です。Microsoftの公式資格ですので、この資格を得ていればPower BIに精通した人材であることを証明できます。
DX化に積極的に取り組もうとしている企業ほどその価値を認めるため、履歴書に記載することで書類審査や報酬交渉で有利になるかもしれません。
note.”PL-300: Microsoft Power BI Data Analyst の体験記・対策”.
2022-09-08.https://note.com/hiroki_momok/n/n53ec490c0338
デジタルトランスフォーメーション Degital Transformation :面のデジタル化
DXの3段階目がデジタルトランスフォーメーションです。組織横断的なイノベーション・ビジネスモデルの変革であり、面のデジタル化にあたります。主に必要となるスキルは以下となり、MBAxCTOのイメージです。
・ビジネスの本質と全体像の理解に基づいて、イノベーションの切り口を抽出する能力
・イノベーションを実行するためのビジネスプロセスをIT化も含め設計する能力など
DX推進では、各部門でDXサイクルを回した結果、下図のような部分最適になってしまう問題があります。
図2 部分最適の問題点 :TechGardenSchool作成
そこで、経営企画室のようなビジネス全体を見れる部署が、キーとなりそうな組織横断的な切り口をいくつか選定し、その切り口についてデータ分析を行うことで新規ビジネスの種や既存ビジネスの改善の種を見つける、という方法を取る必要があります。
このため、この段階でのDX人材には「自社ビジネス全体への深い理解と洞察力」と「データの分析スキル」の両方が高いレベルで求められると言えます。
図3 部門横断的な切り口 :TechGardenSchool作成
この段階でオススメの資格は、前述の Python3 エンジニア認定データ分析試験、および 以下のITコーディネーターです。
ITコーディネーター
ITコーディネーターは、「経営×IT」の視点で経営に役立つITサービスの利活用促進や支援を行う専門家です。データ・デジタルの力でビジネスを変革するDX化が重要な近年では、ITコーディネーターの役割は重要性を増しています。詳細については、ITコーディネーター協会のホームページもご確認ください。
参考:ITコーディネータ協会「ITコーディネータ試験」
https://itc-shikaku.itc.or.jp/exam/
いま必要とされるDX人材とは?
それでは、DX人材とはどのような人材を指すのでしょうか。DX人材を一言で表現すると、「ITを使って社会やビジネスを変革できる人材」となります。
より具体的には、総務省の報告書(*2)を見ることで求められているDX人材がわかります。同報告書によると、特に不足しているDX人材として以下の5種類を挙げています。
・DXの主導者
・新たなビジネスの企画・立案者
・デジタル技術に精通している者
・UI・UXに係るシステムデザインの担当者
・AI・データ解析の専門家
上記より、社会や企業において特に必要とされているDX人材は、DXを主導できる推進リーダーや新規ビジネスの立案者、デジタル技術の有識者だといえるでしょう。
一方で、本来のDXの定義とは異なるのですが、 業務効率化の文脈で「データ集計や可視化」「データの自動化処理」などのデータ集計と分析の業務がビジネスの現場で増えており、そういったデータ周りの業務をできる人材を「DX人材」と呼んでいるケースも実際には多く見受けられます。
そのためのスキルとしてはPythonやエクセルVBAを使ったデータ収集、データの可視化や自動化ができるようになると良いでしょう。
詳細は 記事「50代から副業でプログラミングを学ぶならPythonがおすすめ その理由は?」
「50代会社員のリスキリングには、DX人材を目指せるプログラミング学習がおすすめ!」を御覧ください。
*9 参照元:総務省「デジタル・トランスフォーメーションによる経済へのインパクトに関する調査研究の請負報告書」

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DX人材になるために資格は必要か?
前述したようなDX人材となるために、必須となる資格はありません。なぜなら、DX人材は、医師や弁護士のように特定の職業資格が求められる立場ではないからです。
基本的には、DX人材として活躍するためには、ビジネス現場での豊富な実務経験やマネジメント経験、業務改革実行の土台となるITリテラシーが重要となります。
つまり、重要なのは実際のビジネス経験であり、資格自体はあくまで補助的な位置づけです。しかし、DX人材に関連する資格を取得することで、客観的な知識・スキルの証明や自分の自信につながるでしょう。
また、取得した資格を履歴書に書ければ、仕事を探したり、クラウドソーシングサイトの案件に応募する際も他の候補者と差別化をすることができます。 転職の場合は、まずは書類審査を通過し、面接に呼ばれることが大切です。 会社の状況によっては、基礎レベルの資格やコース修了でも評価され転職に結びついた当スクールの生徒様の事例もありますので、臆せずアピールしていきましょう。
詳しくは 記事「【50代転職成功事例インタビュー】金融経験xIT で思わぬオファー。プログラミングをかじっているレベルで面接官が前のめりに!」を参照。

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DX人材を目指す50代が資格を取ることのメリット
DX人材を目指す50代が資格を取ることで、客観的なITスキルの証明にできます。それだけでなく、資格は学習開始のきっかけや学習継続のモチベーションにもなります。
資格は網羅的に基礎を学ぶのに適しており、ゴールや締切があるため、学習しやすいところもメリットです。
ただ、客観的なスキルの証明にはなる一方、仕事探しなどのセカンドキャリアで重要な「実績」「実務経験」にはならない点には注意が必要です。実績や実務経験を積むためには、以下のような方法を取ることが大切です。
・ 自分の職場で実績を積む
・ コンテストなどに応募する
・ クラウドワークスで小さい案件を受注して実績を積む
まずは自分の職場の業務で、小さくても良いので実績を積んでいきましょう。慣れてきたら、社外のコンテストに応募したり、クラウドワークスで初心者向けの案件を受注して実績を積んだりすることも効果的です。
まとめ:50代からDX人材になるためには、資格取得を目指すことも有効
DXは、大きくデジタイゼーション・デジタライゼーション・デジタルトランスフォーメーションの3段階に分けられ、それぞれの段階に応じてオススメのDX関連資格があります。
DX人材になるために資格は必須ではないものの、資格を取得することで客観的なスキルの証明になります。また、資格は学習開始のきっかけや学習継続のモチベーションになる点もメリットです。
ただし、資格だけでは実績や実務経験にはならない点には注意しましょう。資格に加えて実績や実務経験を積むことが重要であり、そのためには今の職場で実績を積んだり、コンテストやクラウドワークスを通じて実績を積んだりすることも大切です。
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