50代からのリスキリングに役立つ資格とは?
2022.07.31DX推進が社会の流れになっています。これは個人にとって自分のスキルにIT知識をプラスして価値創造することにより実現できるものです。人生100年時代、50代の会社員が今までのキャリアをさらにスキルアップするためにはIT知識をリスキリングすることが、必須な時代になっているのではないでしょうか。IT関連の資格を取得することはスキルアップに有効な手段と言えます。

リスキリングとは何ですか。リスキリングに役立つ資格とはどのようなものがありますか。
「リスキリング」とは単なる知識の学び直しではありません。これからのキャリアに更なる価値を創出していくためにスキルを身に着けるということです。リスキリングに役立つ資格とは、IT知識に関連したものが時代のニーズと言えます。一例として「ITパスポート」があります。この資格は様々なIT分野の知識が求められることから、試験合格のための勉強の中でIT知識を体系的に獲得することが出来ると言えます。

目次
リスキリングとは何か。
経済産業省では日本の現状をこう分析しています。日本の企業が今後向かうべき方向性は、新規ビジネスを生み出すことにより経済成長をとげなければならない。我が国のデジタル人材の育成に関するデジタル・ITを活用した付加価値の高い事業が生み出せていないことが本質的課題であるとしています。その課題を解決するために、企業には社内外を通じて全社員がIT知識を習得するDXリスキリングが必要であり、年代に関係なく日本の社会の進むべき方向として、今後更に推進されていきます。*1 このようにリスキリングとは、今までのような学び直しではなく、デジタル・IT活用で付加価値の創造による能力の向上であります。
なぜリスキリングが必要なのか。
国がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進している。
日本はデジタル・ITを活用した付加価値の高いビジネスの創出するために、リスキリングの進展と個人のモチベーション向上が必要であるとしています。
①企業・組織内における DXリスキリングの実現
一部の人材だけではなく、IT知識習得に向けたリスキリングは全員に対して必要であるとしています。
②企業・組織外の実践的な学びの場の実現
大企業のように実践的な学びの場を自社で用意できる環境であっても社内のリソースが十分でないことがあり、社外との交流が必要となる。中小企業や地方企業についても外部からの刺激や気づきを得るために社外との交流を通じて、自社にはない能力やスキルを新たに獲得することが必要であるとしています。*1
企業がDX人材を求めている。
DXリスキリングを実現するためには、一部の人材だけではなく、全員に対して必要と考えています。
自社の業務領域に関する知識を持った内部の人材のほうがDXについてドメイン知識の推進を担いやすいため、内部の人材を育成することが有効であります。現場の実際の課題を対象にすることで、求められる人材を明確にでき、育成することが期待されています。内部の人材にデジタルスキル習得機会を提供することで、優秀な人材が残り、企業の成長につながると考えています。*1
このことは、年代に関係なく、50代以降の人材に関してもDXリスキリングが求められていることを意味しています。
どのようにリスキリングすればよいのか。
経済産業省も提言しているように、自社に有利なドメイン領域で全社員にIT知識を内外を通じて習得させることが重要と考えています。そのことからも以下のような行動が求められてきます。
IT系の資格取得を考える。
20代や30代の若手社員だけでなく、50代の社員についてもIT資格を取得してDX人材になることが期待されています。
50代の会社員は今までの幅広い経験をもっています。そこでIT知識全般を学べる資格、難易度の易しいIT資格から取得して、実務に直結させることができれば、DXリスキリングを実現できる近道になります。
今の業務でデジタル化できるものを探す。
50代の会社員には経験してきたキャリアから、業務改善のポイントを多く知っていると言えます。しかし、今までのやり方で業務改善をするのは会社が求めているリスキリングではありません。IT知識を習得することによって時代の流れにあったDXリスキリングが求められているのです。会社の業務の中でIT化したら業務効率が良くなる仕事を探してみましょう。
DX人材を目指すためのリスキリングにご興味のある方は、こちらの記事に詳細がまとめられておりますので、ご参照ください。 記事「50代会社員のリスキリングには、DX人材を目指せるプログラミング学習がおすすめ!」

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IT資格取得によるリスキリングの効果とは。
リスキリングの効果はIT知識の新たな学びができることだけでなく、セカンドキャリアの選択の幅を広げると言えます。
ITリテラシーを向上させることができます。
IT知識が向上することにより、時代の流れに合うスキルを身につけられると同時に仕事の仕方の質を高めることができます。
ITを活用して企画提案、業務効率化ができるようになる。
IT知識を習得することにより、社内における自分のスキルをアップさせ仕事の幅を広げられると言えます。
ITツールの中から自分に必要なものを見つけられるようになる。
IT知識を理解することにより、仕事のやり方を考える際に新たなやり方を検討することができるようになり、DX戦略に沿った仕事を推進できるようになることが考えられます。
未経験の中高年会社員がプログラミングを学ぶことによって勤務先でDXプロジェクトメンバーになった事例がございます。こちらの記事「【40代DX成功事例インタビュー】外部の開発会社の方々の気持ち、大変さがわかるようになりました。! 勤務先の社内報でも自分のプログラミングの勉強が取り上げられました。」をご参照ください。

本日は趣味と実益を兼ねてプログラミングや動画編集の勉強を開始された結果、 ご勤務先のDX化にも順調…
50代から目指すリスキリングに役立つIT資格とは
50代からのIT資格取得は、難易度を考えるとともに自分の業務経験を活かせるIT資格取得が現実的です。それは転職する場合でも有利にはたらくと言えます。ここであげたIT資格はどれもDXリスキリングできる資格であり、実務に直結して役立つ資格と言えます。
ITパスポート
ITパスポート試験は情報処理技術者試験の一試験区分であり、「情報処理の促進に関する法律」に基づく国家試験です。IT化された社会で働くすべての方に必要な基礎的知識を証明できます。出題範囲も幅広く、ストラテジ系、マネジメント系、テクノロジ系とIT知識を広く全般的に学び、ITリテラシーを向上させるのに適しています。具体的には、新しい技術(AI、ビッグデータ、IoT など)や新しい手法(アジャイルなど)の概要に関する知識をはじめ、経営全般(経営戦略、マーケティング、財務、法務など)の知識、IT(セキュリティ、ネットワークなど)の知識、プロジェクトマネジメントの知識など幅広い分野の総合的知識を問う試験です。試験の実施もCBT(Computer Based Testing)方式であり、コンピュータを利用して実施する試験です。試験の実施は全国で行われており、特に都市部では、毎週土曜、日曜日に実施されており、試験勉強の計画が立てやすい配慮がされております。*2
*2 IPA独立行政法人情報処理推進機構
MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)
MOSとは、エクセルやワードなどのマイクロソフトオフィス製品の利用スキルを証明できる資格です。
MOSの累計受験者数は、470万人を超えています。(2022年1月現在)
試験には2つのレベルがあります。一般レベル「ビジネスに必須の資格」として、第一線で活躍中の方を中心に幅広い世代から支持されています。上位資格である上級(エキスパート)レベルも、幅広い世代で取得されています。
MOSを取得するメリットは以下の通りとなります。
*パソコンスキルを客観的に証明できる。
*対策学習が実務力に直結する。
*業務や作業効率が向上する。
*就職・転職時の実力アピールにできる。
*世界で通じる国際資格である。
試験の実施は、全国一斉方式と随時方式があり、全国一斉方式は月に1~2回指定会場で行われており、随時方式は全国で1700の会場で随時行われています。*3
*3 試験運営会社 株式会社 オデッセイ コミュニケーションズ
VBAエキスパート
VBAは、Visual Basicをベースに、マイクロソフト オフィス製品用に開発されたプログラミング言語で、VBAを使ってExcelやAccessなどのアプリケーションで自動化する処理を書いたプログラムをマクロといいます。そして、VBAエキスパートとは、ExcelやAccessのマクロ、VBA(Visual Basic for Applications)のスキルを証明する試験です。
VBAを使うことで、ExcelやAccessを自在に制御することが可能になるので、ルーティンワークの自動化や大量データの一括処理、または業務システムの開発など、企業内で多岐にわたって活用されています。試験の実施は、全国で月に数回の実施会場から、都市部では日々希望日で受験できる会場もあります。*4
*4 試験運営会社 株式会社 オデッセイ コミュニケーションズ
エクセルVBAはマクロ開発によるビジネスのDX化、業務効率化や自動化に活用できるオススメのプログラミング言語です。エクセルVBAでできることとその学習法については記事「エクセルVBAでできることと学習方法:VBAでできることは数多く業務効率化が実現可能」をご参照ください。

エクセルの様々な業務を効率化できるエクセルVBA。エクセルだけに留まらずワードやウェブの操作も可能…
Python3 エンジニア認定基礎試験/エンジニア認定データ分析試験
Python3 エンジニア認定基礎試験/エンジニア認定データ分析試験(*5)は、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が運営する、Pythonによるデータ分析スキルを測る試験です。
2020年より開始された比較的新しい試験であり、基礎試験とデータ分析試験の2区分があります。基礎試験では、Pythonの基本文法やデータ構造などが出題されます。データ分析試験では、Pythonのライブラリによる分析実践など、Pythonを使ったデータ分析について出題されます。
AI・ビッグデータ解析などに活かせるPythonの需要は今後ますます伸びていくことが予想されるため、本試験の合格に向けて勉強することも有意義な取り組みになるでしょう。
*5 参照元:一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会「Python試験」
ウェブデザイン技能検定
ウェブデザイン技能検定は、国家検定制度である技能検定制度の一つであります。
試験は実技および学科試験で実施され、関連国際標準規格等に基づきウェブデザインに関する知識・技能、実務能力等が問われます。レベルは1級、2級及び3級に分かれており、1級合格者には厚生労働大臣よりより、ウェブデザイン技能士の合格証書が発行されます。
試験の実施は、全国指定会場で年4回(令和4年度)行われ、1級については年1回の実施となっております。
試験は厚生労働省より職業能力開発促進法に基づき指定された試験機関が実施します。*6
*6 特定非営利活動法人インターネットスキル認定普及協会
ウェブ解析士
国家資格ではなく認定資格になり、約48,000人が認定されております。試験内容については、ウェブ解析を中心に、指標の分析手法から戦略の立て方、広告の効果測定、サイトの課題発見と改善手法などが勉強できます。ウェブマーケティングの流れを学習できることが、実務に有効と評価されています。*7
UiPath RPAアソシエイト資格試験(UiRPA) & UiPath RPAデベロッパー上級資格試験(UiARD)
この試験はUiPathというRPAを使用した資格試験になります。RPAのキャリアを向上させるために考えられた認定プログラムです。仕事の効率化と成果を高める技術が習得できるRPA認定資格です。
上級資格試験は、より高度なRPA技術を開発する能力があるか評価します。RPA技術開発に6か月以上従事している実務者や、 技術的にも高度なRPAを考える方に適しています。*8
RPA技術者検定 アソシエイト & RPA技術者検定 エキスパート
この試験はWinActorというRPAを使用した資格資格になります。アソシエイト検定ではWinActorの基本的な活用方法を学び、WinActorを活用するための基礎知識があるかについて問われます。
エキスパート検定ではWinActorの基本機能を利用したシナリオの作成と修正が出題され、実務におけるWinActorを想定した自動化の技術レベルについて問われます。*9
BIツール Tableau認定資格
BIはビジネスインテリジェンスの略でビジネスの意思決定に関わる情報のことです。BIは、様々なデータから、ITを活用してデータを収集分析して、その結果をレポートの形でグラフや図表に表現します。BIは、経営者や管理職、現場の従業員に、業務改善につながる価値を提供します。
TableauはBIツールのひとつで、ビジュアルでデータ分析が簡単にできるツールです。ですのでエンジニアだけではなく営業やマーケターも使用することができます。難しいスキルを必要とせずに分析することができるBIツールです。Tableau データアナリスト認定資格は、ビジネスにおける問題の把握、分析によってビジネス上の意思決定を行う能力が試されます。*10
AWS認定資格
Amazon Web Servicesの略でその知識を学んで、能力を証明する認定資格です。組織はビジネスの変革ができるクラウドスキルの保持者を必要としています。AWS のトレーニングと認定を受けることで、クラウドに関するスキルを常にアップデートしておくことができます。クラウドスキルのレベルを問わずAWS Training and Certificationを受けることにより、クラウドを効果的に活用するができるようになります。そしてAWS認定試験に合格することができます。*11
情報セキュリティマネジメント試験(マネジメント分野)
情報セキュリティマネジメント試験は、標的型攻撃、内部不正などの脅威について、技術的な対策だけではなく、情報管理、業務フローの見直し、組織内の規程順守という従業員の意識向上といった人による対策に目を向けた試験になります。そこで、国家試験「情報処理技術者試験」の新たな領域として作られたものです。試験内容は、情報セキュリティマネジメントのPDCAを通して、セキュリティリスクの脅威から継続的に組織を守るための基本的なスキルを認定する国家資格になります。*12
まとめ リスキリングでIT知識を身に着けることは、50代からのキャリアアップに必要と言えます。
経済産業省が主導するDX化の推進は、日本経済活性化の施策であり、全国の就業者に求められていると言えます。これからの時代、ITリテラシーの向上は必須であり、仕事のあり方に変革をもたらすものであると言えます。人生100年時代と言われる今、50代の就業者にも求められているものであり、IT知識のリスキリングは、セカンドキャリアの選択肢を広げる点からも、ライフプランを考える点からも必要と言えるでしょう。
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